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立ったまま、皇先輩の頭を両手で引き寄せる。
胸にぎゅと抱く。
皇「雪?」
雪「………まだ、涙が好きですか?」
なんか泣きそう。
皇「どうした?」
背中をトントンと叩かれる。
雪「………。」
皇「…今はちゃんと友達として、後輩として好きだよ。」
嘘。
夢の中でも涙を探してたでしょ。
皇先輩の顔は見えない。
ぎゅっと一度強く頭を抱いて、離す。
雪「なら、いいです。」
笑って答えた。
雪「すみません、お言葉に甘えて少し寝て行きます。皇先輩は大丈夫なら、教室に戻ってもらっていいので。」
そう言って隣のベッドに潜り込む。先輩へ背を向けて。
目をぎゅっと閉じる。
僕さっき泣きそうだった。皇先輩がまだ忘れられないことが悲しかった。
皇先輩はまだ苦しんでいるのか、と。
だからあんなに胸が痛んだんだ。
きっと、そうだ。
さっきはちゃんと笑えてただろうか。
皇先輩の気持ちは、彼だけのものだ。
僕が勝手に同情するなんて、泣くなんて、きっと皇先輩も望んでない。
そのまま意識が落ちていく。
誰かが頭を撫でてくれた気がした。
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