アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
53.
-
朝、息苦しさで目が覚める。
涙が力一杯抱きついている。
その目元は赤くなっていた。
ゆっくり、そこから脱出し、窓の外を見る。
まだ薄暗い。時間を確認すると5時だった。昨日いっぱい寝たからなー。
ベッドに座り、ぼーっと考える。
昨日のことは怖かった。思い出すと今でも震えそう。顔のガーゼがなかったら、舐められたとこをごしごし洗いたかった。
それから、皇先輩達が助けに来てくれた。
話を聞くと僕が遅かったから、携帯に電話したけど、とらない。クラスに行くとさっき出ていったと言う。
嫌な予感がして、学園祭で使っていない教室や準備室を探してたらしい。ガタッと音がした教室に行ってみると僕があの状態だった、と。
ふぅ、思い出すのもイヤなもんだ。
窓にコツと頭をつける。
皇先輩に姫抱っこされたのは、恥ずかしかった…。
でも、あの匂いに心が落ち着いた。
頭を撫でなれて、心が温かくなった。高鳴った。
涙のことが忘れられないことが悲しかった。
僕なんていないように、ずっと涙を見てた。
元々は女の人が恋愛対象だと言っていた。
涙だけが特別だったと。
温泉旅行のときの笑顔を、また向けて欲しかった。
僕はなんとなく気づいている。
叶うわけないとわかっているのに…。
僕は皇先輩が好きなんだ。
涙が一筋流れ落ちる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
54 / 393