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ドアを開けると皇先輩が布団の上に座ってる。
雪「遅くなりました。これどうぞ。」
飲み物を差し出す。
渡すときに手が少し触れる。
ドキッとして、慌てて手をひく。
皇「…あぁ、ありがとう。」
ん?なんか皇先輩変な顔してる。
困ってる?いや、悲しそう。
皇「まだ、怖いのか?」
心配そうにこちらを見る。
あ、急に手を引いたから…。
雪「ちがっ!あの、えっと、ビックリしただけで!そういうのじゃ…。」
皇先輩はゆっくりと僕の頭に手を置く。そのまま撫でられた。優しい笑顔。
皇「良かった。」
やめて。そんな顔しないで。
勘違いする。好きが溢れそう。泣きそう。
ぐっと我慢した。
雪「ありがとうございます。もう遅いですし、寝ましょうか。」
ふいっと視線を背け、ベッドに潜り込む。
おやすみなさい、と声をかけて電気を消した。
僕は布団の中で泣いた。
好き、好き。あなたが好きです。
気持ちが溢れて止まらない。
この距離に居られて、嬉しいのに悲しい。
どうか気づかれませんように。
優しいあの人は、きっと放っておけなくなるだろう。心を痛めてしまうだろう。
そんなこと絶対にさせたくない。
今日まだ泣かせて。明日からはいつもの僕に戻るから。
明け方、また早く目が覚めた。
皇先輩はまだ寝息をたてている。
ベッドを抜け出し、その寝顔を見る。
綺麗でカッコいい。
そっと、近づき…口付ける。
その薄い唇は、少しざらついてて、温かい。
好きです。
部屋を出た。
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