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さっそく、その日の夜に涙へ電話した。
涙「………もしもし。」
雪「もしもし、涙。今いいかな?」
涙「…うん。」
雪「昨日はごめんね。僕の八つ当たりだったんだ。涙は何も悪くないのに、あんなヒドイ言い方して、ホントにごめんね。」
涙「…。」
雪「僕ね…自分のこともわからなくて。涙に説明もできなくて…1人で空回りしてたんだ。心配してくれたのに…。」
涙「…いつも、僕は雪に助けてもらってて。少しは頼ってほしかったんだ…。力になりたかった。」
ひっく…ひぅ…。
ふえふえ泣きながら、一生懸命伝えてくれる。
雪「うん。わかってる。…ありがとう。涙は、親友だよ。家族と同じぐらい大事。…僕がしたこと許してくれる?」
泣き声ばかりで返事がきこえない。
雪「じゃあ、今から行ってもいいかな?…話したいこと、いっぱいあるんだ。」
うん。って言ってくれた。
涙のとこに行こう。それからいっぱい謝って、許してもらおう。
携帯片手に涙の家へ向かう。
途中で会ったお母さんは、僕の顔見て、ぎゅっと抱き締めて、ぐりぐりと頭を撫でてくれた。
まだ泣いていた涙をぎゅっと抱きしめる。
ありがとう、と宥めながら。
泣き終わった涙に今日までのことを話した。
帝先輩に話した通りに。
僕の好きな人が皇先輩で、涙が好きだったことは隠して。きっと気にすると思うから。
涙「どっちが好きか、わかった?」
雪「うん。帝先輩に感謝だね。」
涙「…雪。僕ね、帝と付き合うことになる前は、まだ帝が好きか、自分ではわからなかったんだ。」
雪「うん。」
涙「違うな…。帝はモテるから、心のどこかで諦めてたんだと思う。好きな人がいるかもしれない、男はダメかもしれないって。好きなわけないって。ちゃんと考えたらわかるのにね。」
雪「うん。」
涙「でも…苦しい思いするぐらいなら見ないふりしようと思った。どうせ無理だと。けどね…。」
雪「…。」
涙「見ないふりして閉じ込めるほうが、辛いんだよ…悲しいんだ。自覚したら、押し込めることはできないよ。ずっと暗い気持ちがつきまとうんだ。だったらぶつかって、納得して、前を向こうと思ったんだ。結果に関わらず。」
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