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雪「…皇先輩?」
どうかこのドキドキがばれませんように。
皇「ごめん…。心配かけたな。ありがとう。」
少し微笑んでいる。
顔に熱が集まる。やめて。期待する。
離れがたくなって、また椅子に座り直す。
雪「寝るまでここにいます。…皇先輩居なくなりそうだし。」
うそ。もう少し傍にいたい。
ちゃんと僕を見ている。
前のときみたいに涙じゃなくて、僕を見て話してくれてる。嬉しい。
皇「ははっ。俺は信用ないな。」
少し息が荒い。熱あがってるかも。
手を冷えたタオルの上に当てる。良くなるように、少しでも熱がさがるように。
皇「………雪、俺は大丈夫だから授業に戻れ。大丈夫、ちゃんと休むから。それに…。」
皇先輩の顔に苦しそうな顔が浮かぶ。
どうしたの。そんな顔しないで。
タオルの上にあった手を頬へ移動させる。
肌に触れる前に、皇先輩の手で押さえられる。
皇「本当に大丈夫だから、戻ってくれ。」
手を離して、少し顔を反対に反らす。
それは拒絶。
雪「………。はい、わかりました。ちゃんと休んでくださいね。」
椅子から立ち上がり、保健室から出る。
そのままズルズルとドアに凭れながら、崩れ落ちる。
涙が止まらない。両手を顔にあてる。
わかってたことじゃないか。
泣く資格なんてない。
それでも傍にいると決めたのに。
弱いなぁ、僕。
声を押さえて泣き続けた。
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