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遅れたバレンタイン
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バラは愛を伝えるにはぴったりだった。
「バラ、貰ってもいいですか」
「勿論」
咲さんは変わらない笑顔で俺に笑いかける。そして、少し奥の方へ行きバラを包むためのビニールと綺麗なピンクの紙を持ってきた。
「このビニールだけだとさ、ちょっとかっこ悪いからこの桜色の紙も巻いていい?」
「はい、是非お願いします。
すごく綺麗な紙ですね」
「俺のお気に入りなんだ」
さっきよりもさらに笑顔が増し、綺麗に見える。
咲さんは、何か特別なものを持ってそうだと思った。
「はい、完成!お代はいいよー、久々に来てくれたんだし」
「え、でも」
「いいのいいの!恋人と今度遊びに来てね!!
あ、あと」
そう言って咲さんは俺にバラを渡してからエプロンのポケットに手を入れた。
「はい、これ俺からのバレンタインチョコ
二つあるから恋人と食べて、小さくてごめんね」
「いえ、すっごく嬉しいですありがとうございます。今度連れてきます!」
店を出て、冷たい空気を吸う。
息を吐くと白い息が出た。
「本当にありがとうございました。また来ます」
「はーい、またね~」
咲さんはヒラヒラと手を振り街灯の光がぼんやりと当たる場所を出て店に入っていった。
それからは走って家に帰り着いてからは息が上がっていた。
ドアを開ける。
「春!ただいま!!」
少し大きな声で言うと春が走って来てくれた。
「おかえり奏汰」
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