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涙
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俺が告白され、初めて涙を流したあの日。
俺を変えてくれた奏汰が隣にいる日々。
最高な毎日がとても幸せ。
いつか終わりがくるってわかってるのに、こんな期待しちゃって、馬鹿だよね。
それでも、少しは期待したい、期待させてほしい。
こんなに人を愛せたことはなかった。
ましてや宇宙人でさえ・・・。
一線をこえてしまった。
まずいと思う。
多分奏汰はそれを承知で告白してくれたんだと思うけど、"観察対象"から"恋人"という関係になってしまった今、どうやって宇宙にバレないようにするか。
とても怖い。
昔の俺の唯一の男友達の宇宙人が地球人の男と恋に落ちた。今の俺たちと同じだ。
けれど、宇宙にバレてしまった友達は宇宙から追放され人間にされた。
約束を破ると追放され人間にされる。
昔は人間の記憶から俺たちの記憶を消すのは危険性があるということでよっぽど酷いことがないと記憶を消すという手段に至らなかった。
でも今は違う。昔とは違って安全に人間の記憶から俺たちの記憶を抜き取る方法を見つけてしまった。見つけた奴を恨みたい。
宇宙人は寿命がいじょうに長いと聞いた。
人間なんてすぐにパタッといってしまうのに比べ宇宙人は長生きをする。
宇宙人にとっては人間とは醜い生物なのだ。
そしてただの観察対象。そんな寿命が短くて、醜い人間に宇宙人はされたくないらしい。
人間にされたくない奴もいればこんな奴もいる。
追放された友達が人間になるとき最後に言っていた言葉は
『やっと一緒にいられる』
だった。
彼は泣きながらそう呟いた。
きっと人間の恋人とずっと一緒にいられることにたいして嬉しさを表していたのだろう。
今思えば、あの時、初めて宇宙人が泣いたのを見た。
あいつには名前がついているのかな。
大切にされているかな。なんて、考えてみたり。
俺もいっそ、この恋が本気ならば宇宙から追放されて人間になってずっと一緒に奏汰と・・・、奏汰の隣にいたい。
記憶なんて消したくない、俺の姿を記憶していて欲しい。どんなことがあっても覚えていて欲しい。
そんなことを考えながら今、俺の隣で幸せそうな顔をしながら寝ている奏汰を見ながら涙を流している。
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