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Happy Birthday
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「雪降ってきたねー」
「すごい白い」
今俺たちは外に出歩いている。
時刻は夜11時45分
10時に家を出て春の防寒具を買いに来た。
午前中は用事があって行けなくて夜から出かけることになっていた。
マフラーや手袋、耳あてを買って春に着せる。ジャンパーは俺のおさがり。
やっとあったかそうな服装になった。いつも見ているだけで寒かったから、よかったと思う。
春はあまり寒さを感じないと言うので気にしていなかったが、流石に真冬になると沢山着て欲しい気にもなる。
今日の本題は、春の誕生日プレゼントを買うこと。何が欲しいのかわからなかったから聞こうともしたのだが、何があるのかもわからないのかなと思ったので思い切って買って反応を見ることにした。
あと11分で12時、12時ぴったりにプレゼントを渡したい。間に合わなそうだけど頑張るか。
「春、走って」
「え、うん」
俺は買おうと決めていたものが売っている店に走って行った。
春の手を引き走り出す。
着いた店はアクセサリーショップ。
女性客が多いこの店に1人で入るには少し勇気が必要な気がする。でも、見方によっては女子にも見える春と一緒ならまだ入れる。
店に2人で入って、右の方に俺が求めていたものがあった。
ピンクゴールドの指輪が輝いている。
その指輪の色違いが隣にあり、それは俺用に買うことにしていた。
指輪は店内の明かりに照らされ俺の目を引く。
そんなことをしている間に時間が迫ってきている。
おそろいで色違いの指輪、春はどんな顔をするのかなと考えていると自然と笑ってしまう。
運良く客が少なくすぐにレジに行き買う。
春は店の中をきょろきょろしながら俺の袖を引いている。
春には買ったものがバレていない様子だったので安心してそのまま店から出てカップルがたくさんいる道に出た。
ベンチに春を座らせ時間を確認する。
時刻は11時58分、あと2分で春の誕生日。
「春あったかい?」
「前よりはあったかい」
「そっか、よかった」
何気ない会話。俺は少し疲れたので深呼吸をして12時になるのを待つ。
あと少し、あと20秒、
10
9
8
7
6
5
4
3
2
「春」
「んっ」
俺は12時になった瞬間にキスをした。
「誕生日おめでと、春
これプレゼント」
春は何も言わずにプレゼントを受け取る。
開けて、と言い開けてもらう。
「綺麗」
そう放った春の目には涙が溜まっていた。
春の感情で、春の思いで言った言葉。
「ありがとう、奏汰」
微笑んだ。
今までにないほどの笑顔が今目の前にある。
まだぎこちないがとても綺麗だった。
目には涙があり、尚更綺麗に見える。
その笑顔を独り占めしたくて抱きしめる。
ずっと一緒にいたい、そう願いながら。
「奏汰苦しい」
「ごめん、もうちょっと」
「ねえ、奏汰これつけてもいい?」
急に変なことを言い始めたので少し抱きしめる力を弱め考える。
こんなこと言える子だったかな。素直になったな。とか考えて、
「俺がつけてあげる」
指輪を手に取り春の左薬指にはめる。
春は街灯の方へ手を上げピンクゴールドに輝く指輪をただじっと見ている。
「初めてのことが沢山だよ、奏汰」
そう言いながらもまだ指輪を見つめている。
「初めてもらったプレゼント、すっごく嬉しい。」
「そっか」
俺用に買った指輪を取り出し春に
「俺の指輪と春の指輪色違いだよ」
「ほんとだ、つけてもいい?」
「おお、つけて」
春に指輪を手渡し左の薬指にはめてもらう。
「綺麗だよ奏汰」
「綺麗だね」
奏汰は俺の方を見ながら言った気がしたけど
そこには触れない。
「これからもずっと春の誕生日を祝いたい。」
「うん」
誕生日に色違いの指輪。きにいってくれたのかな。すごい幸せそうに指輪を見つめる春。
「奏汰、大好き
このこと絶対に忘れないから」
「うん、俺も大好きだし、
忘れないよ何があっても」
「約束だからね」
春は俺に顔を近づけキスをする。
「誓のキスみたいだね」
と俺が言うと春は赤くなっている顔をさらに赤らめる。
そんなところが可愛くて、手放したくなくて、愛おしい。
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