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奏汰が写真を撮る時は大抵何か考え事をしている時。
「春、この夕日綺麗」
「そうだね」
奏汰は自分が撮った写真を俺に見せてくる。そんな時の奏汰の表情は子供じみた笑顔をしている。
その顔が俺は好き。
なんとなく安心する。
いたずらっ子が新しい発見をした時のように、自分の好きな人が誰なのか気がついた時のように、顔を少し赤くさせながら楽しそうな笑顔を見せる。
それが俺に向けられている笑顔ではなく
写真の中の風景、彩り、街の人々・・・それらに向けられているということは、もう、知っている。
嫉妬、っていうのかな、これ。
写真に嫉妬か。人間って面白い。いろんなことを見せてくれる。とくに奏汰は。
楽しい、そう感じるのは俺に奏汰の笑顔が向けられた時だけ。
沢山俺を見てほしい。奏汰にとっての1番になりたい。奏汰にとっての大切なものになりたい。
ここまで欲が深くなるとだんだん奏汰の沼にハマっていってしまう気がして怖くなる。
「春、またなんか考え事してた?」
「いや、別に」
「そお?ならいいけど、あんまり考えすぎちゃダメだよ?相談だったらのるからね」
こういうところがいいよね奏汰は。お兄ちゃんって感じかな、自分でもお兄ちゃんっていうのはよくわかんないけど、なんとなく。
「お兄ちゃん・・・」
あっと思い口に手を当てる俺。
それに少し驚いた表情を見せる奏汰。
奏汰はふっと音を立て笑いが溢れ出る。
「なに、どうしたのさ
お兄ちゃんだよー」
馬鹿みたいにお兄ちゃんっぽい奏汰の頬をつまむ。
「言っちゃっただけだよー」
「痛い痛いっ!!!!」
手を話してやると奏汰は頬に手を持っていき痛いなぁと呟きながらさすっている。
「ていうか春の方が歳上だよね
先輩じゃん」
「なに変なこと言ってるの」
奏汰はそんな俺の言葉に笑いかけながら俺の太ももに頭をのせる。
「ずっと一緒に春とこうしていたい」
「うん」
奏汰は俺の瞳に吸い付くように俺の顔に近づき、俺は頭を寄せられそのまま奏汰の唇が触れる。
ふにっと柔らかい感触と甘い匂いがする。
それと同時に俺の前から遠ざかっていく奏汰の顔。
「春はキスあんまり好きじゃない?」
少し考えたあと奏汰の唇を指でなぞる。
今にも溶けてしまいそうな彼の唇はピンクに輝いている。あの夜のようにキスをしたい。
「春」
奏汰は俺の手をとって
「ずっと一緒だからね」
うん、ずっと一緒だよ。
声には出さなかった。言わなくても伝わると思ったから。
奏汰はゆっくり目を瞑る。長いまつ毛が目立つ。
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