アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
誰ですか
-
急な頭痛に吐き気とめまいが襲ってきた。
「うっ、」
白い雪に跪き真っ白な地面が突然黒く見える。
何だ、これ、見た事あるような景色と人?
この公園だ、けどまだ雪が降っていない時のようだ。
誰だ、俺の隣にいるのは、
思い出せない、絶対誰かいるのに、
「・・・かなた?」
誰かに呼ばれ上を向く。
真っ暗な目の前に人がいる。
「奏汰!?大丈夫?」
目が慣れていきどんな人がいるのかようやく分かるようになった。
「誰・・・ですか?」
「え・・・?」
知らない男の子が俺の事を見て俺の名前を呼んでいる。しかも心配までしてくれている。俺と名前は同じだけど人違いだろうか。今は何を言うかなんて考えられなかった。
「すみません、大丈夫です。少しめまいがしただけなので。」
「ご、ごめんなさい勝手に触って・・・」
そう言って彼は広い公園の中を走って行こうとしている。
「あの、」と声をかけようとしたが彼は涙を流していたように見えて声をかけられなかった。
けれどその姿が綺麗で守りたくなって、幸い電源が付いたままだったカメラで
白い雪の中走りさっていく彼の姿をおさめることが出来た。
なぜか一緒にいたい、そう思った。
追いつく距離だったが、立ち上がるとまためまいがして追いかけられなかった。
近くにあったあまり雪が積もっていないベンチに座りさっき撮った彼が写っている写真を見る。
「っはぁ、っなんだこれ、くっそ・・・なんで俺こんな、」
カメラに涙が数滴つく。
ぽたぽた、と音を立て落ちていく。
その写真に写っている彼は確かに泣いていた。
走っている彼の後ろ姿をどこか懐かしいと思う。
どこかであったことがあるのか、いやわからない。
でもそんな彼の姿を見て泣いている俺は何なのだろうと思う。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
22 / 71