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生徒
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「はあ、まだ授業あるとかきっつー」
「早く帰って寝たいわ」
昼飯を食べ終え、これから午後の授業が始まろうとしていた。
友達と他愛もない話をしている生徒。一人本を読んでいる生徒。ただ時計だけをじっと見つめている生徒。
優人の悪口を言っている生徒。
「そういえば、あの無表情平凡眼鏡最近生徒会と仲いいよな~」
話を切り出したサッカー少年に続いて、皆も優人の話を持ちかけてきた。
「確かに!あの時も生徒会のチャラい人が教室まで来てたしな!」
「なんであんな何の取り柄もないやつ…」
「なんかむかつくよな」
「ほんとそれな!」
弱者はやはり侮辱されるのが普通なのか。
毎日のように、大きな声での悪口が耐えない。
勿論、優人はなんてことないのだが、他の奴らにしてみればつまらないのだろう。
悪口を言っているのにも関わらず、相手は無反応のうえ、無表情。言い返してもこない。いつもと変わりないのだ。
だからだろう。苦しい顔をさせたいという感情が勝ってしまい、昨日よりも酷い方向に行ってしまう。
優人の悪口を毎日のように聞いた生徒は、言い返せない立場にいるのか。苦い顔をしていた。
いじめの標的になるのが怖いのか…。まあ、やめろと言わない方が正解だよな。
それに、俺だって悪口言われてる原因があるんだから仕方ないか。
一人で抱え込み、誰にも相談しない。
それが優人の『普通』だ。
誰にも心配されたくない。
心配されない方が安心なんだ。
今の俺を見たら、あの人は悲しむだろうか。
目をゆっくりと閉じ、今さっき考えていた事は全て忘れてしまったように、また本を開き読み始めた。
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