アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
僕達の嘘
-
どうにか昨日はあの双子を押し返したが、また来るかもしれないな。その時はゴロ吉の目の届かないところで話をして断ろう。
誰もいない教室で本を読みながら優人は考えていた。
次のページの角を指で擦りながら、長い文を読み始めた。
時間は過ぎ、次々と生徒達が登校してくる。
誰とも朝の挨拶を交わさず、ただ横を通り過ぎていく。
一人。
二人と。
通り過ぎる度に優人へちらりと目を向け。
そして逸らす。
こんな平凡が、なぜ生徒会と交流を持っているのか。
もしや、こいつは。どこかの跡取りなのかと。
ひそひそと声が聞こえる。
そんな空間が耐えられなく。
優人は静かに席を立ち、ドアへと向かった。
コツ、コツと、ゆっくり。
革靴のため、静かな教室に響いた。
さらさらと髪をなびかせ、教室を出た。
その日初めて、優人は朝から授業をさぼった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
118 / 130