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僕達の嘘
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「……い。おーい。起きてる~?」
だれだ…。
肌寒い風が優人の肌をくすぐる。
タイルの隙間の一輪の花がゆらゆらと揺れている。
重い瞼をゆっくりと開くと太陽の光が目に染みて。
靄のような弱い光が薄い皮膚をじりじりと刺激する。
俺寝てたのか………。
睫毛を微かに震わせながら。何度も、小さい瞬きをした。
頭が回らないなか、必死に今までの経緯を思い出していた。
……やばい、俺授業サボったんだ。
ようやく目を開けると、綺麗な顔立ちをした男子生徒が一人。
薄茶色の髪を耳にかけ、吸い込まれるような瞳で優人をじろりと見ている。
優人
「…お前確か……、月宮兄弟の彩月か…」
先生ではなかったと、安心したようにため息をついた。
彩月
「山崎くんここでなにしてんのさ~」
顔を近づけ、また吸い込むような瞳で。こちらをじっと見つめていた。
優人
「何って……見ればわかるだろ…」
自分がしていたことに恥じらいを感じ、顔を逸らしため息をまた零した。
サボりって結構精神削られるんだな…。
疲れを吐き出すように息をし、お腹を摩った。
お腹いてぇ。だめだもう教室いけない…。
不安と恥じらいで下腹部が引き締められるように痛かった。
優人
「お前こそ、ここで何してんだよ。サボりか? 」
彩月
「残念ながら、もう授業は全部終わりました~」
授業が終わったって……。
優人
「はぁ!? まじかよ…」
やっちまったと言わんばかりに、眉間にしわを寄せまっすぐな髪をくしゃりと掴んだ。
何度目のため息か。
掴んだ髪をするりと解き、ポケットの中のスマホを取り出した。
電源を入れると、そこに表示されていたのは下校時刻をかなり過ぎた時間だった。
山崎くんと、隣で優人の名前を呼ぶ声がした。
なんだと返してみれば顔を両手でつかまれ、鼻と鼻とをくっつけられた。
微かに爽やかな匂いがした。
優人
「近い邪魔」
退けようと肩を押してもびくともせずただ見つめてくるだけだった。
澄み切った水晶のように、濁りのない瞳に。
何故か目をそらすことが出来なかった。
彩月
「山崎くん、最近寝てないでしょ~。
ほら、眼鏡とったらくっきり隅見えるよ~」
目の下の青ずんだ陰りをゆっくりと優しい手つきでさすられた。
色素を含んでないように細くきらびやかな髪が優人の白い肌に触れる。
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