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変化
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夜遅くまで保健室で寝ていたため、その日は先生が寮まで送り届けてくれた。
優人
「散々な一日だったな…」
溜息をつきながらベットに倒れ込んだ。
床で寝ていたゴロ吉が優人の元へ来て、ほっぺを舐めた。ザラザラとした感触に、優人思わず笑ってしまった。
優人
「……」
優人は無言で自分の頬へ手をやる。
最近自分でも思うことがある。
笑う回数がいつからか増えたのだ。あの日、屋上で生徒会に喧嘩を売られた時から、優人の人生は少しずつ変化していった。
楽しい、嬉しい、悲しい。そんな感情はあの日に無くしてしまったはずなのに。
優人
「母さん…俺、また幸せになれるのかな……」
夢に出てきたあの人は偽物なんかじゃないとわかっているのに。どうしてもあの日の記憶が俺を取り巻く。
本当に幸せになっていいのか。俺がいなければ運命は変わっていたのかもしれないのに。
母さんも、あの日死ななくて済んだ。父さんも姉ちゃんも、悲しまなくて済んだ。
小泉だってもしかしたら、瀬戸川先輩と付き合えたかもしれない。
思考はどんどんマイナスになっていく。
『お前は……』
あの時、屋上で言おうとした言葉が喉に詰まったかのように、口に出せない。
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