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優しさ
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先生に呼ばれてるとか、なに下手な嘘ついてんだ...。
優人
「ふぁ~...、眠い」
眠気と頭痛が同時に走る。睡眠不足の典型的な症状だ。
少し仮眠できる場所はないものかと、倒れそうな足取りでふらふらと歩きながら探す。
頭がガンガン割れるように痛む。手で髪の毛をくしゃくしゃにしながら壁に持たれるように一歩、一歩と足を進める。
「おい、どうしたんだ」
後ろから声をかけられるがあまり上手く聞き取れない。
力を振り絞って後ろを向くが視界が歪んで顔もよく見えない。
「...山崎!おい、しっかりしろ」
無理。もう限界...。
視界が暗転した。
体の力が抜けて崩れるように倒れると、大きな手で体を支えられた。
それと同時に花の香りがふわりと広がる。
好きな匂いだ...、母さんの匂いに似てる。
優人を支えながら男は優人のおでこに手をかけ、熱を測る。
「とりあえず、熱はないようだな。にしても、クマがひどいな...仮眠室に運ぶか」
大切なものを扱うように、そっと優人を抱えながら仮眠室へと足を運んだ。
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優人
「ん...」
目を開けると、そこは見慣れない部屋だった。
上にはシャンデリアがある。明らかに昨日見た保健室ではなさそうだ。
ゆっくりと体を起こす。
奏夜
「目覚ましたか」
優人
「瀬戸川先輩...なんでここに」
生徒会の作業をしていたのか、部屋には資料が散らかっている。
奏夜
「お前がぶっ倒れたからわざわざ俺が運んでやったんだ。感謝しろ」
優人
「そうなんですか...。ありがとうございます」
奏夜
「それより、山崎。お前寝てないだろ。クマが酷いぞ」
見ろ、と言わんばかりに俺に手鏡を渡してくる。
鏡に映った俺はまるでゾンビのようだった。
優人
「これはやばいですね...」
ははと顔を引きつらせて笑う。
奏夜
「とりあえず、お前はゆっくり休んどけ。授業は免除しといてやるから」
あの俺様生徒会長、瀬戸川奏夜がいつにもなく優しく感じる。
俺は言われた通りにまた眠りについた。
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奏夜
「......」
優人のクマを優しく撫でる。眉をひそめ、心配そうな顔をしながら優人の寝顔を眺める。きめ細かい肌に、少し長い睫毛。
至って普通な顔なのに惹かれる部分がある。
奏夜
「これくらい許してくれ」
そう言うと、優人のおでこにキスをした。
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