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屋上
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青く澄み渡る空、少し肌寒い風がびゅうびゅうと吹く中 優人と隼人はいつものように弁当を食べていた。
先に食べ終わった隼人は、ふわふわと浮かぶ雲を見上げながら「綿飴…あれはクッキーかな…」と微笑みながら呟いている。さながら幼稚園生のようだ
しかし隼人の横顔はまさに王子。今日の優人の笑みとは比較できないくらい美しいものだった。
目を閉じる度に長い睫毛が目の下に影をつくる。アニメーションや漫画でしか見慣れないその光景に優人は目を奪われていた。
世の中にはこれ程までに整った顔立ちの人がいるのかと。
関心しながら、朝作った卵焼きを口に入れた。
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数時間前。体育の時間。
「鬼教師」と言われる程、厳しいとされている先生の授業に遅れてしまったのだ。勿論こっぴどく怒られ、いい晒し者になってしまった優人。
教師の怒りに怯える生徒。優人を陰から嘲笑う生徒。
勿論。後者の方が多いのは言わなくてもわかるだろう。
なぜなら俺はクラスで浮きまくってるからな。はは...
段々と遅刻してしまった自分にも、罰として雑用ばかりを押し付けたあの鬼教師にも腹を立てていた。
優人
「はぁ…」
隼人
「そんなに気にすることじゃないよ。遅刻は誰にでもある事だし」
隼人に王子様スマイルで励まされるのは何回目だろうか。
やっぱりお前はイケメンだなと、言おうとした時。
バァン
屋上のドアが誰かの手によって、思い切り開かれた。
なんだと思いドアの方を見てみる。
そこにいたのは、丸わかりのカツラに、でかい眼鏡。まるで変装していることをアピールしているような容姿だった。
?
「見つけたぞ!隼人!俺と一緒に昼飯食おう!!」
身長が小さいのにも関わらず、声は異様に大きかった。
隼人
「の、野原くん…」
優人
「隼人にあんなキチガイな友達いたっけ」
野原とやらには聞こえないようにそっと隼人に耳打ちする。
隼人
「ううん。彼、今日転校してきたんだよ。Sクラスに入った瞬間なんかいきなり感動し始めて…。面白いなぁって思ったんだけどまさかあんな子だとは……」
優人
「まぁ…どんまい」
??
「優人流石過ぎ今の段階でドンマイとか…あははっ」
開ききったドアから登場してきたのは四ノ原華月。
俺の数少ない友達の一人。もちろんこいつもイケメンだがかっきーこと華月はちと残念だ。
優人
「かっきーいたんだ」
華月
「遅めのヒーローっているのはモテるだろ☆」
優人
「絶対モテない」
野原
「おい華月!!そいつは誰だ!!」
華月
「野原くん。君何回言えば分かるの?俺のことは下の名前で呼ばないで」
本当に同一人物か疑うくらいに先程までとは打って変わって声のトーンは違っていた。
野原
「俺に名前呼ばれたからって照れるなんて、華月は可愛いな!!」
優人
「……」
なんというポジティブ思考だ。
華月
「なんで優人は黙るんだよ~!
転校生って聞いたから、変装してて、でも実は可愛くて!
優しい子で、声も綺麗かな~♡とか思ってたのに!!
いきなり呼び出してきて『俺は本当は可愛いんだぞ!』とか言って変装とって自慢してくるし。
そんな転校生いないわ!!
普通は不意の事故で気付くものであって、自ら自慢されると全く萌えないし。
も~!いつになったら優人は総受けとかになってくれるのさ!!そしたら大量の腐がゴニョゴニョ」
そう、こいつはいわゆる腐男子。黙ってればイケメンなのに。ほんと残念だ。
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