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一階の自由フロア。誰でも食事を取っていいフロアになっていて普段はA、Bクラスが使っている食堂だ。
だが今日はなぜかSクラスのしかも生徒会役員が自由フロアを使って食事をしているのだ。野原を囲んで。
なんでこいつと一緒に食べなきゃいけないんだよ。
……とは言っても、これはかっきーが設けてくれた席。愚痴は言ってられないな。
生徒会執行部共に、隼人とかっきーはSクラス。それと同様に野原もSクラスであるため普通から二階の特別フロアで食事を取るべきなのだが。
今回はかっきーが俺もいるから、ということで一階の自由フロアで食事を共にしてもらってるのだ。
「優人、一人だけじゃ寂しいでしょ♪」
こういうとき、かっきーは優しくて助かる。
教室ならまだ大丈夫だが、食堂となると人数が多すぎて耐えられない。しかも一人となるとぼっち感がやばくて吐いてしまいそうになる。
雄大
「隼人と華月は何食べてるんだ?! 」
隼人
「僕はナポリタンだよ…はは」
華月
「A定食」
雄大
「美味しそうだな! 俺にくれてもいいんだぞ! 」
食べさせてもらいたそうに口を大きく開けた。
隼人
「え……」
雄大
「なんだ? くれないのか! そういうやつは友達失格なんだぞ! まぁ、ごめんなさいしてくれたら許してやってもいいんだぞ! 俺は優しいからな! 」
立ち上がりえっへんと言わんばかりの顔をした。
それを見た生徒会は「優しいな」と口ずさむばかり。
隼人
「どうしよ優人~。助けて~~」
小さな声で、俺の制服の襟を掴みながら。涙目でそう訴えてきた。
優人
「俺面倒事嫌いだから」
隼人
「優人の欲しい本プレゼントしてあげるから~~」
欲しい本プレゼントだと……。
優人
「やめたら? 困ってんじゃん」
いや別に本が欲しいとかじゃなくてだな…。これは友を助けるためにやった事で本の為とか一ミリも…
雄大
「山崎は黙ってろ! お前には関係ないだろ! これ以上文句を言ってみろ! 次は殴るからな! 」
なんでそんなに俺には冷たいのか…。
ほんとガラスのハートぼろぼろだっつーの。
先程まで騒がしかった食堂が、一瞬にして静かになった。
俺の放ったため息でさえ皆の耳に行き届くくらいに。
「殴るって……、やばくない? 」
「先生呼んだほうがいいかな? 」
静かだった食堂がまたざわつき始めた。
これ以上は危ないと察した一人が野原に駆け寄り耳元でそっと呟いた。
奏夜
「雄大、ここじゃなくて屋上のほうがやりやすいだろ? 」
雄大
「そうだな」
二人は俺の顔をじっと見つめながら食堂を後にした。
他の生徒会役員もなんとか誤解を解きながら食堂を後にし、俺達も続いて食堂を出ていった。
静まった食堂にこつこつと、革靴の音だけが響き渡った。
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屋上。
空気がどんよりしている中、意を決して優人は口を開いた。
これも本の為だ。
優人
「野原はそうやって力にものを言わせるのやめたら。いつしもお前が正しいわけじゃないし」
雄大
「俺は正しいんだ! 間違ってることなんて何もない! 」
優人
「全部自分が正しいわけじゃないと思うけど」
ため息混じりに言った一言が転校生の逆鱗に触れたらしく。
雄大
「うるさい! お前なんか! 」
野原は拳をあげ、優人の頬を殴った。
殴られるのは想定していたため、元々歯を食いしばっていてよかったと。優人は痛みよりも安心していた。
激しい痛みはなかった。だが口内で微かに鉄の味がした。
優人
「眼鏡どっかいった。かっきー、俺の眼鏡探してくんない? 」
ただ冷静に。お面のように表情を変えない優人に一同は少し驚いていた。
華月
「すごい冷静、腹痛いんだけど」
屋上のドアを手でどんどんと叩きながらひーひー笑いをこらえていた。
雄大
「…ッ。華月、こんなやつの眼鏡なんて探さなくていいんだぞ!」
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