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原因
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眼鏡ないと本当に何も見えないな。
唯一見えるのが口から出た血とか笑えない。
ほんの僅かに笑みを浮かべながら目を細くして手についた血を眺めた。
その手は自然と地べたについて。立ち上がろうと必死に力を入れていた。
雄大
「早く顔上げろ! もう一回殴ってやる! 」
奏夜
「はっ、痛くて泣いてんじゃないのか」
槙斗
「庶民如きが雄大に逆らうからですよ。当然の罰です」
双子
「「ださーい」」
優人を罵る声はとまらない。
頭の中でザザザと、何かが音を立てる。
ずっと、誰かが俺の名前を呼んでいる気がして。
……ゃん。……うちゃん。
頭を撫でながら、何度も何度も名前を呼んでくれる。
麦わら帽子を頭に被り、泥だらけになっていた小さな俺に微笑みながら。
ゆっくりと手で泥を拭ってくれた。
『ゆうちゃん! どんなことがあっても、笑顔を大切にしなさい。何事も笑顔が大事よ!
大丈夫、ゆうちゃんの笑顔は綺麗なんだから! 』
ゆうちゃん、ゆうちゃん、と。モヤがかかっていて顔はよく見えなかった。
だけど、どこか懐かしいような。優しいような。
『うん!──さん!』
優人は笑いながらその人に抱きついた。
『ボク、──さんの言う事ちゃんと聞くよ! だってボク、いい子だもん! 』
自分と話していたその人が誰なのか、思い出せなかった。
顔にモヤがかかって、どうしても思い出すことが出来なかった。
笑顔か…。
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