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ドロドロ
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朝4時。
熱も下がり、快晴だ。
隣で寝ている槙人先輩の頭をそっと撫で、部屋を出る。
扉の所で止まり、振り返り、寝ている槙人先輩を眺める。
優人
「ありがとうございました」
そう言って、微笑んだ。
・
・
俺はテーブルに置き手紙を書いて置き、槙斗先輩の部屋を出た。
『風邪の看病、ありがとうございました 優人』
槙人先輩が起きてしまわないように、そっと扉を開ける。
優人
「お邪魔しました」
・
・
エレベーターで、3階へ戻り自分の部屋まで行く。
《ガチャ》
見慣れた部屋には猫が一匹床に寝ていた。
優人
「待っててくれたのかな」
猫に近づき、そっと撫でる。
自室で朝食をとり、制服に着替える。
時計は6時を指していた。
いつも7時に隼人が来るので、あと1時間何をしてようか考えていた。
優人
「読書でもしようかな」
そう言って、寝室の本棚から1つ、本を抜き、開いた。
『どうして私じゃないの?』
『ごめん』
『そんなにもあの女がいいの??』
『ごめん……』
『もういい。そこまで言うなら、あの女には死んでもらうわ』
『そんな!?どうしてそうなるんだ!』
『あなたが私と付き合ってくれないからでしょ。私と付き合ってくれたら、あの女には今後一切関わらないわ』
あまりの急展開に驚いた表情を隠せない優人。
優人
「ドロッドロだな。まあでも、最後まで読んでみるか」
男はその女と付き合うことになった。
勿論、その女は言った通り、彼女には手を出したりはしなかった。
彼女が平和ならそれで良かった。
きっと、俺の事もすぐ忘れる。
────そう思っていた。
ある日、友人から『彼女が死んだ』と伝えられた。
自殺だったらしい。
『どうして……ッ!どうしてなんだ…………』
『お前、本当に気づいてなかったのか!?』
『え……』
『彼女は!お前の事大好きだったんだ!誰よりも愛していたんだ!それを!他の女が出来たかって……ッ!ふざけんなよ!!簡単に手放すなよ!』
『俺だって……、俺だって彼女を愛していた!だけど…、だけど!彼女には幸せでいて欲しかったんだ。俺のせいでアイツに嫌がらせばっかりさせられて……』
『彼女が大切なら、どうして守ろうとしなかった!本当に大事なら、たとえなんと言われようと彼女を守ってやれよ!!』
その言葉に、男は自らを憎み、憎んだ。
(どうしてあの女の言うことを信じてしまったのだろう。
人を殺せるはずがないと分かっていたのに、彼女を傷つけない方法なんていくらでもあったのに……)
彼女を、大切な人を守りたければ己自身が守ればいい。
それでも無理なら他人を頼れ。
決して、1人で抱え込むな。
それはいつか、限界を超え、誰かを、自分自身をも傷つけることになるであろう。
読み終わった本を机に置こうとすると、裏表紙に何かが書いてあるのがわかった。
『優人へ!
この本、気に入った?
俺も読んでみたんだけどなんか面白くなかったから優人の部屋に侵入してこっそり本棚に追加しちゃった♡
かっきーより♡』
優人
「……………………土に還してやろうか…」
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