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出会いは高校受験の時。
本命の高校入試だってのに体調は最悪だった。
緊張からとかでもないし、勉強のせいで寝不足とかでもない。
いつものよく分からない体調不良。
普通の日だったら休んでいたと思う。
目覚めに起き上がった瞬間に吐き気が込み上げて吐いた。
なんとか制服に着替え終えて家を出ようと思った時にも吐いた。
その場で、じゃなくてトイレでだからなんとか難無きを得たけど2回の嘔吐で手先はぴりぴりと痺れていたし、ただでさえ寒い日なのに余計に身体が冷たくなっていた。
早めに着こうと思っていた高校に集合時間10分前に着く。
周りはみんな着席していて自分の席はすぐに分かった。
傍から見たらその時は余裕な受験生とか思われただろうな。
試験時間が近づいて試験用紙が配られて、解答用紙が配られる。注意事項がつらつらと説明される。
試験が始まった、瞬間だった。
鉛筆を握ってさぁ問題を開こうって下を向いた瞬間、口の中に唾液が溢れる。
やばい…そう思って顔を前に向き直してごくりと唾液を飲みくだす。
それでも、一度溢れた唾液は止まらずに次から次へと口の中に溜まりだす。
あ……これ、は……限界??
机の上を汚すわけにもいかず手を挙げる。
試験中、体調が悪くなったりやむを得ず御手洗に行きたい時は挙手を…そんな試験前の説明だった、から。
手を挙げるのに誰も気付かない。
そりゃ、試験始まってすぐに挙げるやつなんて考えてなかったかとは思うけど、さ。
お願い、早く、気付いて。
挙げる手を降る。
試験監督を眺める。
なのに、なのに……
ごぽり、と嫌な音が喉の奥でした。
閉めた口が強制的に開けられて、目の前の答案用紙を汚す。
ばしゃりと机に落ちたそれは机の上では収まりきらずに床に滴る。
あぁ、やっちゃっ、た……
気が付けば挙げた手を下ろして濡れた口を覆う。
目に涙が溜まって視界が歪む。
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