アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5-3
-
試験のでき、そんなのは壊滅的。
体調悪い状態で解くものじゃない。
「よく頑張ったね。」
そう言って先生が頭を撫でてくれた。
綺麗にされた制服を受け取って礼を言うと、鞄を取りに行かなきゃ、と教室に向かう。
しんとした教室。
試験監督の先生たちが机から受験番号の書かれた紙を取っている。
そろりと教室に入ると、先生たちが俺に気付いて「大丈夫だった??」なんて。
大丈夫ではなかったけれど、も。
頷くしかないし、「ご迷惑お掛けしました。」と謝るしかない。
「いいよ。気にしなくて。しょうがないじゃない。」
先生がいう。
でも、しょうがないとは思ってないくせに。
しょうがなくなんてないじゃないか
面倒なやつだとか思っただろう。
机も床も汚して掃除をさせたし。
ごめんなさいしか頭に浮かばなかった。
俺は鞄を握るととぼとぼと教室を出る。
そして、そこに人が立っていた。
「体調は大丈夫??」
そいつが問いかける。
何、こいつ。
「前の席に座ってたんだけど、さ。」
あぁ、試験監督に俺のことを伝えてくれたやつか。
いや、そうじゃなくて、どうしてこいつがこんな所にいるの??
俺に話しかけているの??
あ、そっか、大事な試験の時に嘔吐テロだもんな。
文句の一つでも言いたくなるだろう。
手を挙げたのがまず時間のロス。臭いも酷かっただろうし、試験中嫌だっただろうな。
あー、周りの人たちにも謝らなきゃならない案件だ。
「あ、あの時はごめんなさい。」
「は??なんで謝るの??体調どう、ってきいたんだけど。」
いや、こっちがは??なんだけど。
「お前、何で帰るの??」
いや、本当にこいつ意味が分からない。
「まだ体調悪そうだな。」
それから気が付いたら俺はそいつに連れて帰られていた。
「大丈夫だよ。心配ありがとう。ちゃんと帰れるから。」
俺はそう言ったはずだった。
なのに、何も聞きやしないそいつ。
そう、それが遙眞、だった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
24 / 84