アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5-4
-
帰りは気が付けば遙眞のこぐ自転車の後ろに乗せられていた。
一人で帰れる、大丈夫とか言うのに全然信じてくれなくて…いや、まぁ信じられないとは思うけど……それでも、初めてあったばかりの奴に迷惑かけるなんて申し訳なかった。
ぎゅっと握りしめる遙眞の腰周り。
スポーツでもしているのか程よくついた筋肉がコートの上からでも分かった。
しんどいだろうから寄りかかっていいとか言われるままに寄りかかった遙眞からは優しい匂いがしてなんだか暖かかった。
コレが俺みたいな男じゃなくて女の子だったらこいつは嬉しかっただろうにな。
申し訳ない。
そう思いながら気が付けば家に着いていて、「ありがとう。」と返せば「当たり前のことだよ。」だなんて。
こいつって本当にいい人なんだな、って思った。
「受かったら、よろしくな。」
玄関の戸に手を触れた途端、遙眞が言う。
その台詞が嬉しくて「あぁ。」と笑って返せば遙眞はもう自転車に跨り遠くへ行っていた。
こんな奴いるんだな、とか、こんな奴と仲良くなれたらいい高校生活を過ごせそうだ、とか思っているうちに受験の結果はきて、なんとか合格。
ほっとして、遙眞がいるのかな、って思えば入学式に見慣れた影。
入学式は嬉しかったさ、遙眞がいたし、同じクラスだったから。
でも、優しさは受け取るのはちょっとだけでいい。
貰いすぎたら申し訳なさ過ぎて困ってしまうから。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 84