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本来は保健室ってずっといていい場所じゃないはずだ。
一限でよくならない場合は早退、なんてそんな規則あった気もする。
いつから俺は特例となったんだろう。
いや、でも俺だけじゃないよな??
家に帰ったって誰もいないなら危ないから、休んでて大丈夫だよ、って誰かに言ってた。
書類上は早退にするけど帰れそうになったらで大丈夫って何度か聞いた。
だから、大丈夫、俺が特別なわけじゃない。
ソファに横になりながら先生の後ろ姿を見る。
汚れてないベッドで休むか、と聞かれたけれど、今日はなんだか人を傍に感じたくて断った。
ほんと、つくづく面倒な奴で手のかかるやつだよな、俺。
なんでこんな状態で学校きたんだろ、馬鹿みたい。
「月代くん??」
振り向いた先生に呼ばれてハッとする。
「はっ、はい!?」
「少しは調子よくなった??」
椅子を引いて立ち上がるとこちらに向かってくる。
手を顔に伸ばされてずいっと顔を覗き込まれる。いつものことなのになんだか恥ずかしい。
「朝よりか、は大分……」
目線をずらしてそう返す。
「まぁ、朝よりは確かに顔色はいいけど……何か口にできそう??」
拒絶に気付いてくれたのかぱっと手を離しそう述べる。
口にできるか、といえば分からない。
口にできるかもしれないし、できないかもしれない。
「少し……なら……??」
どうだろう、と思いながらもそう声に出す。
そして、すっと出されたのはマグカップに注がれた葛湯。
甘く優しい匂いが鼻腔をくすぐって、これなら大丈夫な気がする。
マグカップの中に入れられたスプーンで葛湯を掬い口に含む。
温かくて柔らかい。
なんだか今日も温かいをいくつももらってほこほこしてる気がする。
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