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7-2
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遙眞に連れられて行った病院。
入った瞬間の消毒液の匂いや生暖かい空気。
全てが独特でなんとも言えない気分になる。
その気配に即座に気付く遙眞は一体何者なんだろう。
本当は俺が名前を書いて受付をしなきゃなのに強引に腕を引いて周りに誰もいない席に寝かせると「寝とけ。」だとか言われ遙眞の上着をかけられる。
受付を済ませて返ってきた遙眞は白色の洗面器を持ち、俺を片手で抱き上げたかと思うと違う待合室へと移動させた。
違う待合室には簡易ベッドがあってそこに眠らされる。
さっきとは違って上体だけを転がす感じではなく全身が横になるからキツくない。
「気持ち悪いなら無理はすんなよ……」
そう言って枕元に洗面器を置く。
こんな状態の時にそんなもの欲しくないけど、それでも、置いてもらった方が安心はする。
吐かない、としても
波は来るから嫌になるし、
病院に入った瞬間にうっ、ってきたのは認める。
でも、バレないようにはできてたはずだけど??
じっと遙眞を見つめると、髪を撫でられる。
優しく髪に触れる手が気持ちいい。
「割と時間かかるかもしれねーから。」
寝てていいぞ、と付け加えられて悪いとは思うのに気が付けばうとりとする。
寝れそう、そう思った時に波が来る。
やばい、と唇をぐっと噛み締めると即座に遙眞が動く。
「吐いていいから、」
だとか、うるせーよ。
そんな言われたら、俺の脳が、胃が、反応しちゃうじゃん。
口元に寄せられる洗面器。
背に触れるあたたかいてのひら。
口に含まれる常温になった水。
俺の口元を拭うタオル。
何から何までお前はやってのける。
バカ、バカ、バカ、
お前なんて、ほんと、何なんだよ。
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