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休んだのは1、2限と昼休みだけ。
放課後の文化祭の話し合いも参加できて、そこで決まったのは俺たちのクラスはフリマをするってこと。飲食店とかじゃなくて当日も準備期間もあまり動かないから自分も参加できそうとほっとした。
準備期間にフリマでだすもの集めと飾り付け、後は普通に文化祭を楽しめばいい。
「今年は文化祭参加できそうだな……」
自転車を漕ぎながら遙眞が言う。
「あぁ……」と小さく漏らしてぎゅっと遙眞にしがみつく。
最近しがみつきながら思うのは遙眞の傷跡。いつも触れているあたりにはそれがある。
「ねぇ、遙眞……」
「ん??」
聞けば教えてくれるだろうか。
聞いたら何か変わるだろうか。
いつもそう思って、「何でもない」って返して、「そうか」で終わる。
察しのいい遙眞のことだからいろいろ気付いているんだろうけど、それでも、先には進めない。
家に着いて礼を言えばまた今日も一日が終わる。
進展のない一日。
これがいつまで続くんだろう。
卒業までこれなんだろうか。
遙眞のこと知らないまま、
俺のことを告げないまま
そうやって終わっていくのかもしれない。
「文化祭の準備も当日も楽しもうな。」
にっと笑って俺の頭をがしがしと撫でると遙眞はそう言って帰ってく。
近いのに遠ざかる距離。
本当にこの関係のままでいいんだろうか。
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