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「ちょっ、、遙眞、痛い!!」
和史と智瑠と別れてから校内を歩き回る。
握られた手は離すことなく力だけが込められ、歩く速度も速くなる。
いつも気を遣う遙眞がらしくない。
考えごとを巡らしているのだ、と
"ゆうちゃん"という単語が何かを思わせたのだ、と
頭が働くまで何も言わずにと思っていたが着いていくのが限界に達して声を荒らげる。
「あっ、ごめん。」
俺の声にはっとして遙眞が手を離す。
切なそうな哀しそうな目が揺らめく。
「はる、ま……??」
なんだよ、なんでそんな泣きそうなんだよ。あの単語は何を意味してるんだ??
遙眞に差し出そうとしたてのひらが何にも触れず空を切る。
世界が揺れてるのか、俺が揺れてるのか、
ただ少しだけ、いつもよりも少しだけ速かった、それだけなのになんて貧弱な身体。
もっと、前に遙眞に声をかけるべきだったな、なんて後の祭り。
自分の体力のなさが情けない。
自分の身体が憎い。
遙眞についていけないんだもん。
「ともっ、」
遙眞の声が遠くで聞こえる。
心配そうな声。いつもの声。
ごめんね、心配なのはお前なのに、俺の方が心配かけて。
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