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こんなことしてる場合じゃないのに、こうしていれば心配されるだけなのに、何しているんだろう、自分。
何度も流して透明になったトイレの水に映る酷い顔。
もう吐くものも無ければ、目から流す涙さえない。
喉がひりついて痛い。
ずっと下を向いていたせいか、泣きながら吐き続けたせいか頭が痛い。
手先、足先は血流が低下して冷たいのにぴりぴりと変に痺れて。
こんな状態、遙眞に知られたら怒られるな、とか不意に思って笑えてしまう。
遙眞が俺をどうして気にしてるかなんて知らないくせに、
理由がないとダメか、なんてあの時は誤魔化されたけど、きっと理由なんてないことはない。
あの時はなくてもいいや、なんて思ったけど、あるかもしれないって分かった今はその理由が知りたくてたまらない。
それが俺にいいことだとは思えなくても、それでも、知りたかった。
すぅ、はぁ、と大きく深呼吸。
前までよくやっていた、調子の悪い時に誤魔化す時にやるちょっとした自分の身体へのおまじないのようなもの。
大丈夫、大丈夫、大丈夫、いける。
そう身体に言い聞かせる。
もちろん、調子が良くなることなんてない。でも、気合い。
気合いでどうにか出来る部分はどうにか出来るから。
だから……
目をぎゅっと閉じてぱっと開くとその場を立ち上がる。
くらりと目眩はしたけれど、慣れてるんだよ、こっちは。
そう目眩に言い聞かせるようにして個室を出る。
洗面台で口をゆすぎ、顔を洗って鏡に映る自分を見つめる。
ほんと、笑えるくらい酷い顔を再認識。
それでも、「いける」そう鏡の中の自分の背を押すように声をかければ和史と智瑠のところに戻った。
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