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時間の流れがゆったりと感じる。
時計の針の音が鮮明に聴こえる。
制服は後で着替えるから、とか
大丈夫だから、とか
ひとりになりたいから、とか
そんなこと言って、喚いて遙眞を学校に行かせた。
だって、触れたくないって思ったんだ。
もう心配されたくないって心が叫んだんだ。
火事場の馬鹿力なんて本当にうまくいったもので、力なんてどこにもなかったのにそう思ったら気が付けば喚けていた。
喚く元気なんてどこにもなかったのに。
自分が叫んでるのかどうかすら分からなかった。
遙眞には悪いことをした。
それは分かっているけど、けど。
「も……むり…………」
真っ暗までとはいわないけれど電気が消されて、カーテンも閉められて薄暗い空間。
そんな世界が眩しく感じる。
腕で目を覆い隠して世界を遮断する。
どうして遙眞に出会ってしまったんだろう、
頭の中に浮かんだ疑問。
考えたくもないのに考えてしまう。
あいつと出会わなければ、こんな気持ちを思うことも、体調が悪い時に誰かに心配されることもなかったのに。
なんだよ、馬鹿。
本当は自分のこと見て欲しかったんじゃん、自分。
苦しい時に誰かにいて欲しかったんじゃん。
迷惑なふりして本当は嬉しくてしょうがなかったんだ。
今さら気付いて、今さら欲しいと思って馬鹿みたい。
俺は、お前の中では特別な存在なんだと過信しすぎていたんだ……
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