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朦朧とした意識が気持ちの悪さによってたたき起こされた。
やばい、無理、
そう感じて起き上がろうとするのに身体はまるで鉛のように重くて、どうしようか、と思っていると目の端に洗面器が映る。
必死に怠い手を伸ばして手繰り寄せると、気持ちの悪さが一気にこみ上げ、ばしゃりと音を立てて洗面器の底に当たる。
吐くものなんてなかったはずなのに吐き出されたのはほんのりと黄色味のある液体。酸味が強く喉を刺激するそれ。
その匂いと刺激がさらに気持ちの悪さを助長する。
「……っ、はぁ……」
息ができない、苦しい……
そう思うのに波は止むことはなくって、意識が飛ぶ気配もない。
こんなことなら意識なんて放棄してしまいたいのに、変な時に頑固な体。
もうやだ、ふざけてる、
逃げ出したい、逃げ出せない、
なんだよ、代われよ、
誰かに代わって欲しい、
何度も願った、何度も思った、
でも、結局はこの意識も身体も自分のもので誰も助けてくれなければ代わってもくれない。
いやだ、もう、いや……
吐いたせいか、苦しみのせいか、じわりと目に溜まる涙が吐物と共にこぼれ落ちていく。
ねぇ、助けてよ、ねぇ、傍にいてよ。
洗面器とかじゃなくて、タオルとかじゃなくて、お前がいい。
傍にいて欲しい。
代わりでもいい、同情でもいいよ。
あんなこといってごめん、
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