アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
10-8
-
落ち行く意識。
その中に入り込む声。
その声を待っていた。
「……っ、あぶなっ。」
ふっと意識が飛んでそのまま洗面器に頭が突っ込まれそうになる前に支えられる。
「は、る……??」
声の主を間違えるわけないのに掠れた声で名前を呼ぶ。
聴こえたかどうかも分からないその声に呆れの入った怒鳴り声が降り注がれる。
「とも…限界になる前に連絡しろって言っただろ??」
そんなこと言われたって。
だって、迷惑じゃん。
俺、あんなこといったのに、聞いたのに、今さら助けてだとか、俺を見てだとか言えるわけないじゃん。
「……っ、ふぅ……」
何度も零して枯れたはずの涙が再び溢れてそれと共に嗚咽が零れる。
なんで涙がでるんだろう。
なんで泣いているんだろう。
身体が苦しいせい??
吐きすぎたせい??
なんて、そんな変な言い訳はやめよう。
遙眞が来てくれたことが嬉しいから、
絶対理由はコレ。
来て欲しかった。
寂しかった。
「ったく、泣くほど無理すんなよ。」
目の端からぽろぽろと零れてやまない涙を拭いながら遙眞がいう。
ねぇ、遙眞、
同情でもいいから、
どう見ててくれてもいいから、
俺の傍にいてよ。
こんな苦しい時はひとりでなんかもう耐えたくない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
71 / 84