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本当のことを言わなきゃ。
俺は死ぬかもしれないんだって。
でも、言えない。言いたくない。
言わなくてもいいや。
死ななければそれは事実じゃなくなる。
最低だとは思った。
けれど、真実を言う方が最低だとも思った。
死ぬかもしれない、
なんて遙眞にはチラつかせることが遙眞を傷付けるから。
面会時間が終わるギリギリに仕事を終えた親が来ると、遙眞は帰っていった。
正確には、担当の先生から話があるから、と親と自分だけにと言われて遙眞は帰された。
本当は聞きたかっただろう、俺の状態を。
本当のことを。
でも、血の繋がりがなければ、他人であれば本人が望まない限り、本人の許可がない限り知らされることがなければ知らすこともできないこと。
今の俺には丁度良い個人情報の保護だった。
遙眞には知らせたくない、知らせたとしてもいい情報だけでよかった。
悪い情報は今の俺には要らない。
僅かな可能性でも良い情報だけでいい。
遙眞が帰って見せられた検査の数値。
何度も丁寧に先生が数値について教えてくれたから、この前、病院で見せられたものよりも悪化してることが分かる。
この数値が変動したら、まずいかもね、
そう言われていた数値が明らかに異常数値をたたき出し、この前までは黒色で書かれていたのに赤色で書かれている。
それを見て少し笑ってしまった。
親はすごく深刻そうにしていて、笑う俺をありえないとでもいうかのような表情で見る。
いや、それがごもっともな反応なんだけど。
けど、さ、だってしょうがないじゃん。
こうなってしまったのなら。
それなら現実を受け止めるよ。
でも、諦めない。
諦めたらこの数値がまた変動する気がしたから。
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