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鞄を机の上に置いて席について、筆箱を取り出し机の上に、教科書、ノートを取り出して机の中に、机の横に鞄を掛けて…。
チャイムが鳴ればいつでも始まってどうぞな状態。
そこまではできたんだけど、な。
やけに鮮明に見え始めた視界。
自分と自分の見えてる世界に距離を感じて、音が遠くの方に聞こえだした。
一杯の水くらいしか口に含んでなくて胃はそんなに動かしてやってないはずなのに、突然、ぐるりと動き始める。
じわじわと食べ物とか考えてるわけじゃないのに唾液が口の中に溜まってくる。ごくりと飲み込んでも唾液のでる速度にそれは追いつかない。
やばい、な…
これ、吐ける気しかしない……
目を軽く閉じてごくんと飲み込みづらいモノを飲み込むように嚥下をするとはぁと浅い溜息を吐いて席を立つ。
ぐらりと世界が一瞬歪んだけどなんとか耐えた。
いける。いける。大丈夫。
また、自分に言い聞かせて何事もないかのように廊下に出て歩く。
声をかけられたくないから誰にも会いたくない。
厄介なあいつには死んでも会いたくない。
今、おはようとか言われても返せる余裕なんてないし、平然を装ってあいつには挨拶を返してもこの状態は簡単にバレる。
なんとか誰にも会わずにお手洗いに辿り着いた。
個室に入って鍵を閉めると気が抜けてその場に崩れ落ちた。
身体中の力が抜けて、がくんと膝から折れた。
便座にもたれかかって便器の中を覗き込む。
力が入らないからぐたっと便器を抱えてる。
「……っ……はぁ……ん……」
歪む視界でゆらゆら揺れる水面を眺めながらぐっと閉じていた唇を開く。
喉奥までそれはきているのに重力に負けて行ったり来たりを繰り返す。
苦しい、楽になりたい……。
ふと、意識が飛びかけた時にびくんと背が跳ねた。
「んぐ……う…えっ…………」
びちゃびちゃと音を立てて水の中に口から溢れたものが落ちていく。
朝に何も食べていないのに、水を汚すそれは昨日の晩のものだろう。
醜くて、汚い。
なんだよ、もう。
一度波がくれば待っていましたと言わんばかりに波がくる。
強い波に声も出せず、息もできずに息が上がる。
気持ち悪いから少しはすっきりすると思って吐こうと思ったのに、吐いても気持ち悪い。
吐き続けて喉が痛い。目には涙が溜まって、鼻がつんとしする。
手先足先、身体の末端の血液が全て中心に持っていかれたかのように冷たくて震えて寒くて震える。
何やってるんだろう、俺。
気が付けば意識が飛んでいたみたいでチャイムの音にハッとした。
やばい、予鈴だろうか??
本鈴だったらまずい。
席に置かれた筆箱と横にかけられた鞄を見てあいつが変な邪推をしてしまう、から。
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