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よく立てた、と自分で自分を褒めたい。
手は震えたし、足も震えてる。
もちろん、視界もおかしい。
トイレを流して、洗面台で口を念入りに濯いで、手を洗う。
制服の裾に証拠は残ってないか、制服に匂いがついてないか、確認はするけれど視界は変だし、嗅覚は先ほどのせいで鼻が痛いままで全然頼りない。
でも、大丈夫、だよね??
大丈夫。大丈夫。
いつもの調子で自分に言い聞かせて、教室に向かう。
ちゃんと吐いたし、貧血は席に座っていればどうにかなるだろう。
「おはよう。」
席につく前に隣の席のそいつに挨拶をする。
「おはよう。何処行ってた??」
「トイレだよ、トイレ。最近、寒いじゃん??」
不審そうに眺めるそいつ。
寒いと近くなるじゃんとか笑いながら言えばそいつは納得したように俺を見る。
なんだよ、本当に…
こいつのこういうところが嫌だ。
気にかけないでよ、俺のことなんか。
俺の精一杯の台詞、疑ってるんでしょう??
辞めてほしい。
だって、大丈夫だから。
うん。大丈夫。
それなのに、さ…授業始まってちらりと俺が時計を見たタイミングで「腹が痛いので保健室行っていいですか??」なんて席を立って保健委員の俺を保健室に連れ出すんだから、ムカつく。
俺だって、頑張ってるのに。大丈夫なのに。
無理なんかじゃないから。
無理してないから。
通常運転なの。
気持ち悪いとか頭痛いとか意識飛びそうとか。
なんとかなる、のに。
心配性なそいつが嫌になる。
そりゃ、さ、急に立ち上がらされたからその場に一瞬こけかけたし、廊下に出てからもそいつの支えがなければ歩けないくらいまでにはなっていたけど、さ。
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