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担任から保健室利用届の印鑑をもらって職員室を出てトイレまで後数メートルのところで俺は蹲った。
限界がそこにあってトイレに駆け込みたかった。けど、駆け込もうとすればそれは間に合わずに床に広がったと思う。
まだ春とは名ばかりで寒い日々が続く中、廊下も例外でなく寒かった。
そんな寒さのせいで冷えた廊下に手をついて、波を凌ぐためにはぁー、はぁーと長めの息を吐く。
視界はぐらりぐらりと揺れて視点が定まらない。
でも、大丈夫。大丈夫。
じっとしていれば治まる、から。
時折くる高めの波はぐっと唇を噛み締めて、一瞬息を止めることでやり過ごす。
「お前、さ、何やってんの??」
チャイムがなってしばらくした頃にそんな遙眞の声。
「うっ、せ……」
気が付けば荒れてぜぇぜぇという息になった息遣い。声を発するのも必死だけど、きっ、と遙眞を睨んでそう述べる。
何やってんのじゃねーよ。
好きでこうなってるわけじゃないし。
はぁと遙眞が溜息を吐く。
あぁ、あぁ、めんどうですみませんねぇ。
ほっといてくれたらいいのに、こいつはほっとかない。
職員室に入って先生からもらってきたであろう袋を俺の口元に当てて背を摩る。
手慣れてるのは分かるけど、ムカつく。
「吐きそうなんだろ??」
「だいじょ、ぶ……だ、し……」
大丈夫じゃない。全然。
気持ち悪いは気持ち悪い。
吐きそうなのも事実。
油断したら確実に吐く。吐ける。
遙眞の背を摩る手もそれを助長してる。
触らないで欲しい、触れないで欲しい。
優しく撫でる手を振りほどきたくて身をよじる。
「強がり。」
強がり、とかじゃねーよ。ホント。
「トイレ、いか、せ、て」
あー、やっぱ強がりでいいかも。
吐きたいのにココじゃ嫌だから、袋なんかに吐きたくないから俺は告げる。
「はい。はい。無理だったら袋に……」
「吐かねーよ。……っう……」
「ホント、強がり。」
俺の手に袋を握らせて遙眞は俺を抱きトイレに走る。
振動があまりないように気を使って。
手慣れているのは分かるけど、ホント、こいつムカつく。
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