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余程の事じゃなければ身体なんてどうにかなる。
でも、無理な時は本当に無理で、ベッドから立ち上がることすらできない。
今日はそんな、日。
こんな状態だって親にバレたら何言われたか分かったものじゃないけれどなってしまったものはしょうがない。
そんな日に限って母親は昼から仕事とかだから本当にタチが悪い。
こんこんと部屋をノックする音が聞こえる。
きっと、もう出なきゃ遅刻の時間なのに部屋を出た気配がないから。
朝から仕事ならそんなこともされることなくほとんど口にすることのない朝食と昼食のお弁当が食卓に置かれているだけなのに、なんなの。
放っておいてほしい時に放っておいてくれないんだから。
返事すらキツイから何も反応しなければガチャりと戸が開いて母親が部屋に入ってくる。
返事がないからって年頃の男子高校生の部屋に入らないで欲しい。
「朝よ。起きなさい!!」
そう言って、巻き付けた布団を剥ぎ取ろうとする。
熱のせいか潤んだ瞳で辞めろと言わんばかりに見つめると、気付いた母親は手を止める。
またなの??みたいな表情を一瞬見せて、はぁと溜息を吐いて「今日は休む??病院はどうする??」なんて。
心配してるんだか、してないんだか。
「やす、む……びょ、いん…は……い、い……」
絞り出すように声を出せば、「そう。」とだけ応えられて学校に連絡をいれられる。
そして、体温を計られて、熱があると分かると氷枕、水分を用意される。
これはまだ、嬉しい。
けれど、ありがた迷惑なお粥と市販薬までもが枕元に置かれる。
「ちゃんと食べて薬飲むのよ。」
なんて…怠い時にそんなもの口にしたくない。
薬だって症状を抑えるだけだから完全に症状を取り去ってくれるわけじゃないし。
でも、何が嫌かってお粥というほとんど匂いのしないものの匂いすら感じられることで。
少しうっとして匂いを感じないように布団で顔を覆って匂いを遠ざける。
「後で食べる、ありがとう。」
せっかくの行為に拒絶はできないからとりあえず礼を述べる。
母親は困ったように俺を見たけれども、少しは空気を読んでくれたのか部屋を出ていってくれた。
そう、こんな時は人がいない方がいい。
人がいない方が静かで、いい、から。
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