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「ともー。」
遙眞が呼ぶ声で目が覚めた。
でも、目の前に見えるのは自分の家のトイレで学校のものではない。
俺は幻聴でも聞いたんだろうか??
いつも嫌という程、遙眞の声を聞いているし、嫌という程、遙眞に心配されている。
だから、きっと、幻聴…幻聴なん、だ……
俺は立ち上がることも出来ないほどに力の抜けた身体を起き上がらせようと努力もせずに便器を抱えたまま、また意識を飛ばそうとする。
「とも、此処にいたのか。」
扉の開く音。
そして、また遙眞の声。
意識は飛びかけていて幻聴であっても遠くに聞こえるはずの声がやけに近くに聞こえた。
どれだけ、俺、遙眞に怒られるの怖がっているんだろう。
こんな時はいつだってそうだ。
「どうしてこんなになるまでお前はほっとくんだよ。頼れよ。馬鹿。」
そう言って遙眞は俺を怒る。
怖いわけではない。
ただ、俺が体調を崩す度にそう言われるからうるさい…というより申し訳なく感じる。
俺なんて放っておけばいいのに、構い続ける遙眞。
どうしてこんなにも構われるかなんて知らない。
遙眞は出会った時からずっとそうだ。
ずっと俺を構う。
何度離れても、何度突き放しても。
懲りずに俺のところにやってくる。
また、今日もそんな聞き慣れた台詞が聞こえる。
うるさいよ、そう思うのに俺はその台詞をどこかで求めているのかもしれない。
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