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結side
その後、時計を見るととうに昼の12時をまわっていて、春亜は急いで退院の準備をしてくれた。
荷物は少なかったからすぐ用意が出来た。
病院を出て、春亜がバスで帰ろうといい、バスに乗りこむと休日のためか、人が多く俺は少し人に酔ってしまった。
壁に寄りかかっていたら春亜が俺の顔を撫でて、
『どうした、気持ち悪いか?座らないとやばい?』
と心配させてしまった。心配させて申し訳ない気持ちがあったけど、でも少し嬉しかった。
俺は、大丈夫だよ。ごめんねと返事を返すと辛くなったらすぐに言ってといい、春亜の方に頭を寄せられた。
春亜の匂いがして、少し酔いが収まった気がした。
『おい、そこ気をつけて降りろよ?』
そう言い、先に降りた春亜は手を差し出してくれた。
「うん…あ、ありがとう…」
俺はその手に自分の手を重ねるとしっかりと握ってくれて、そのまま歩いた。
しかし人通りの少ないわけでもないこの道を、男2人が手を繋いで歩いているところを人に見せるのは少し恥ずかしくて、俺は手を繋いで歩くのは遠慮した。
…俺のせいで春亜が変な目で見られるのは避けたいし。
春亜はムスッとした表情に一瞬なったけど、そのかわりちゃんと隣で歩いてと言い2人並んで春亜の家までの道のりを歩いた。
『ただいま~~。母さん、帰ったよ。』
『おかえり!春川くんは?』
『居るよ。ここに』
春亜のお母さんが奥から出てくると春亜が避けて俺の姿が見えるようにした。
『春川くんいらっしゃい!ずっと待ってたのよ?』
春亜のお母さんは俺のことを笑顔で迎えてくれて、俺のこと、覚えていてくれた。
待っていた、と言われてその言葉が心臓のあたりにじんわりと広がって、嬉しくなった。
「お、じゃまします。あの、えっと、、」
『大丈夫よ、おばさんは春川くんの「味方」。
けど、これからここで暮らしたらおばさんのお手伝い、沢山してもらうことになるけど、大丈夫かしら?』
…なんてこの家は『温かい』んだろう。
今まで笑顔で俺の存在を受け入れてくれる場所なんて無かったのにこの人達は笑顔で俺を迎えてくれる。
「味方」と春亜の母親に言われた事に驚き、そのうえ、もう涙がでそうだ。
『結。』
春亜が微笑んで、俺に手を差し出す。
そこに俺の手を重ねる。
「…っお邪魔します、」
今日からここが俺の居場所になるんだ。
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