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暫くして、さっき呼んだ救急車がサイレンをけたたましく鳴らして学校へと入ってきた。
保健室から外へと出れる扉の前にストレッチャーを
運んできた救急隊の人が現れると佐伯先生は急ぎ足で扉を開けに行った。
『春川、救急車来たから。大丈夫だからな。』
手を握りながら呼吸の荒い春川に囁くが、きっともう何も聞こえていないだろう。
春川が救急隊の人達の掛け声と同時にベッドからストレッチャーへと移される。
最初からついて行くつもりだった俺は救急隊の人に俺も乗せてください、と言うと横から救急隊の人ではなく、佐伯先生にそれは駄目だと言われた。
『なんでですか!』
「駄目だよ。生徒を授業時間に病院へ付き添わせるわけにはいかない。」
『でも、、、、っ!こいつは1人じゃ駄目なんです!
俺がもう一人にしないってこいつと約束したんです!
酷くいつも寂しそうにしてる!お願いだから……
先生、!!』
「うん………
けど、ごめんね、やっぱり無理だよ。
保健医として、学校の教員としてそれは了承出来ない。
僕が春川くんに付き添うから、何かあったらすぐに君のクラスの担任の先生に伝えてもらうように言うよ。
6時間目が終わったらすぐに病院においで。病院の場所も後で伝えておくよ。」
『っでも!!!俺がいてやるって!離れたら!』
「気持ちはよく分かる。
でも、どうしようも無い時があるんだ。お願い……
加賀くんなら、分かってくれるよね?」
俺を宥めるように優しく言ってくれている佐伯先生の顔は困った顔をしている。
佐伯先生に迷惑掛けたくなかったけど、俺は春川のこと、一人にしたくなかった。
けどきっと、これは粘っても連れていってはくれない、
時間の無駄だろう。
春川が可哀想だ。
『…………、、、っわかりました。春川をお願いします。
何かあったら絶対、すぐに連絡してください。』
「うん。分かった。約束するよ。」
佐伯先生が乗り込むと同時に救急車のドアが閉まる。
ドアが閉まる、その音はまるで無力な俺を
拒絶するかのようで自分に苛立ち、
暫くその場から動けずにいた。
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