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佐伯side
何が起こってるのか、全然分かんない。
僕の目の前で、泣き叫んで、ごめんなさいって、名前を叫んで、看護師に押さえつけられて叫んでいる人。
その手を容赦なく振りほどいて、出ていってしまう人。
何が起こってるのか、全然分からない。
混乱が収まらない頭の中で、一つだけ考えられたことは、『目の前の子を支えなきゃ、壊れちゃう』────
「嫌だ!!!!!!お願い!!出ていかないで!!春亜!嫌!!おい!触んな!!!春亜以外!俺に触れんな!!」
看護師が押さえつけて、声を必死にかけている。
『春川くん!!!落ち着いて!!あ、ほら1度落ち着きましょう!!大丈夫よ!!!』
「うるさい!!どけ!邪魔だ!!!俺は!!あ、春亜!!春亜ぁ!!!おい!触んな!!春亜以外触んなって!!」
狂ったように暴れて、加賀くんだけを求める春川くんを見ていると、何故か涙が出そうになる。
ダメだ、ちゃんとしっかりしなきゃ。
気持ちを落ち着けて、春川くんにゆっくり触れる。
『春川くん、、』
「嫌だ!やめろ!!嫌!」
『春川くん!!!!』
──────────…
病室が、一気に静まり返って春川くんが、俺を見つめる。
『大丈夫、大丈夫だから、、、、、、大丈夫、、ふっ、うう、、、大丈夫…だからぁ……』
何で僕が泣いてんのか、訳わかんないけど、馬鹿みたいだけど、何故か涙が止まらなくなってしまった。
春川くんが、ぽろっと雫を一粒落とす。
それを境に、春川くんは何が何だか分かんないくらいに、吹っ切れたかのようにボロボロと泣き出して止まらなくなってしまった。
『大丈夫、、ふぅ、、ふっ、!大丈夫だ、から!』
『大丈夫』って何回も言って、春川くんの背中を擦る。
「、っ先生ぇ、、、うっ、ふぅ、、ぅ!!春亜!春亜がいない!!先生ぇ、、、!!」
それでも僕は、泣き続けるこの子に『大丈夫』としか言ってあげることが出来なかった。
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