アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
イケメン教師、宮本に慰さめられる
-
一時限目が空き時間だった小坂は、相談室のソファで村田と宮本のことを、ぼんやり考えていた。あの二人、つきあっているんだろうか。まさか、な。
「先生、小坂先生」
優しく呼ぶ声がする。
小坂は目を開けた。ソファの脇に、宮本が立っていた。
「先生、寝てたんですね」
宮本の無邪気な笑顔があった。
「ごめん。サボりだな」
小坂は、あわててソファから起き上がった。
「呼び出されて、何かと思ったら、先生、眠ってるんですもん」
宮本はクスクス笑った。
「おどろかせてごめん」
小坂は照れ笑いした。
「テスト、できてなかったですか?」
宮本は、心配そうに聞いた。
「いや、よくできていたよ。がんばってるな」
「よかった。ありがとうございます。じゃあ、進路のことですか? 僕の今の成績では無理だとは思うんですけど」
「そうじゃないよ。宮本に聞きたいことがあるんだ」
「生徒協議委員会のことですか?」
「村田のことだ」
宮本の顔色が、さっと変わった。
「何か、隠していることがあるだろう」
宮本は、小坂の顔から視線をはずした。
「まあ、座れ」
宮本は、小坂の反対側のソファに黙って腰かけた。宮本は、うつむいたまま、何も答えなかった。
時計の針の音だけがした。窓の外で小鳥の声がする。木々がざわめいて大きく枝をよじり揺れるのが窓から見えた。
「先生……」
宮本は、そう言いかけて、ももの上に置いたこぶしを握りしめた。
何日か前、小坂は宮本と村田のただならぬ現場を、夕暮れの教室で目撃した。
村田は逃げたが、宮本は小坂に捕まった。問いただしたが、宮本は、
「何でもありません」
と小坂の手を振りきって走り去った。
宮本は、泣きじゃくり始めた。
「先生ごめんなさい。嘘つきました。ぼく、村田君に……」
宮本は、こぶしで涙をぬぐった。小坂は聞いた。
「村田に、いじめられてたのか」
宮本は答えた。
「村田君と、キスしました」
「無理やりされたのか?」
小坂の問いに、宮本は、うなずいた。
「村田に注意しておこう」
小坂が言うと、
「やめてください」
と宮本は拒否した。
「わかった。今は言わない」
小坂は、ため息をついた。
「先生、聞いてもいいですか?」
宮本は涙をふいてから聞いた。
「昨日の放課後、どうしたんですか?」
昨日の放課後とは、いつの、どのことだろうと小坂は答えに迷った。まさか、宮本を家に送ったあと麓戸の店に行ったこと? それとも、校長室で長時間、何をしていたのかということか。
「外の手洗い場で……」
と宮本が小坂の答えを促すように言った。
「あ……ああ、そのことか。そういえば、宮本と、外の手洗い場で会ったな」
よかった。麓戸にSM調教されていることも、校長に触られて喘いでしまったことも、知られたわけではないのだ。そんな事実は、この生徒には、きつすぎる。
「何かあったんですか?」
宮本は心配そうに聞いた。
「何もないよ」
小坂は微笑みをつくった。自分では、うまく笑えられていると思っていた。だが、生徒は、なおも心配そうに聞いた。
「そうですか……。僕は、てっきり、先生も村田君に何かされたのじゃないかと思って心配になったのですが……」
図星を指されて小坂の胸はどきりとした。
「先生も、村田君におどされていますよね?」
宮本は知っていて聞いているのだろうか? 小坂は、この賢い、だが幼い級長に、何を、どこまで話していいものか、判断しかねた。賢さと、幼さは、ごまかしを許してくれないからだ。
「もしかして、村田君におどされていることって、前に……見回りの時にあったことですか? うわさでは、小坂先生が、他校の生徒に暴力を受けたって……。四月頃、先生が一週間くらい休まれたでしょう? あのとき、そんなうわさを聞きましたけど、それって、本当ですか?」
級長の率直な質問に、小坂は、答えられなかった。
宮本は、再び泣き出した。
「宮本? どうした?」
小坂は、うろたえた。
「ぼく、見ちゃったんです。先生の動画」
どの動画? 麓戸に毎回撮影されているいやらしく恥ずかしいプレイの数々が頭をよぎった。
「先生の酷い動画を……」
ウッ、といって、宮本は、口を押さえた。何を見たのだろう。失禁プレイだろうか、食便プレイだろうか、乱交か、鞭か、縄か、磔か、野外か……。
「村田君に、見せられて」
村田……村田が持っている動画……。
予鈴が鳴った。
「ありがとう、話してくれて。悪かったな。嫌な気持ちにさせて」
小坂は、宮本の肩に手を置いて言った。
「いいんです……」
宮本は、首を左右に振った。
「僕は、先生のことが心配なんです……あんな酷いこと……」
小坂は、指導のために呼び出した生徒に、反対に、慰められたような気がした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
46 / 143