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【第七章 第二の問題】校長室
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翌日の放課後。
担任の生徒の宮本が校長室に入ってきたとき、小坂の目には、彼が意気揚々として見えた。彼は、扉のところで迎え入れた小坂の顔も見なかった。
宮本は、校長にうながされ、応接セットの黒い革張りのソファに座った。小坂は宮本の、はす向かいに座った。
校長が口を開いた。
「昨日の続きを聞かせてもらおう」
「はい」
宮本は、真面目な顔で返事をした。
「その前に」
と校長は言った。
「昨日君が話したことは、君や、君の友人にとっても、公になったら困ることだね」
宮本の顔色が変わった。生徒が、十八歳未満立ち入り禁止の店を利用していたことは、非行だった。
「はい……」
宮本は、急に小さくなった。
「停学処分ということも、あり得るのだよ?」
校長は言った。
「その覚悟はできています」
宮本は、気をとりなおしたように背すじをのばして答えた。
「君の日ごろの行いに免じて、退学処分にはならないだろうが」
校長は、宮本の顔を見た。
「事情をよく聞かないとわからない」
宮本は少し黙ったあと答えた。
「みな、承知の上です」
宮本の答えに、校長は、うなずいた。
「それでも、訴えたかったというわけか」
「はい」
宮本は、真摯なようすでうなずいた。
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