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生徒に犯されたイケメン教師
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高校教師の小坂愛出人(こさか おでと)二十七歳は、旧部室棟の床に、ぐったりと死人のように横たわっていた。
下半身に身につけているものは、黒い靴下と片方脱げたサンダルだけ。ネクタイはゆるみ、白いワイシャツもボタンがはずされ、乱れていた。
窓の外で、何かを求めるように、ふらふらと蔓草が揺れていた。
廃墟になった、この旧部室棟は、校庭の一隅に、立ち入り禁止のロープが張られた先にあった。
部室棟の一室には、古い椅子や机が、無造作に積み重ねられてあった。
そこかしこが痛かった。
皮膚が、べたべたした。小坂は指先で、自分の顔に触れた。乾いてこびりついた体液で、口のまわりが、かさかさした。
こんな顔では、外へ出られないな。こんな姿で、こんな体では。
腹の上には、まだ、ドロッとした粘液が膿のように溜まって光っていた。
それに気づいたとたん、嗚咽(おえつ)のように、吐き気がこみ上げた。小坂は、横をむいて、えずいた。生理的な涙が、小坂の目から流れた。
苦しみをやり過ごして、小坂は、息をついた。
小坂は、まだだるい体を持ちあげて、しいて起き上がった。
小坂は、服を着ると、ふらふらと旧部室棟を出た。
空は気でも違ったかのような、桃色に染まっていた。空気全体が隠微で異様な熱をはらんでいた。そろそろと、墨汁を流しこむように不穏で黒い夜が忍び寄っている刻だった。
小坂は外の水道の蛇口をひねった。水は勢いよく、ほとばしり出た。
激情に駆られて体外へ躍りでるスペルマのように。
小坂は火照った顔に、その水を受けた。水は、体内であたためられたもののように、夏の熱気で生ぬるくあたたまっていた。
小坂は、せき込み、むせびながら、ほとばしる水を顔に受けた。
そんなことで穢れた行いまでもが洗い清められるわけでもないのに。
苦い粘液が、喉の奥にこびりついている。恥ずべき行為の印を、洗い流したいのに。
残忍な行為の痕跡を消し去りたいのに、洗っても、洗っても、消し去ることができない。
指を口の中に突っ込んで、口に残った苦い味を洗い流そうとする。
小坂のかたわらを、別世界の住人のように、下校する制服姿の生徒たちが笑いさざめきながら通りすぎていく。
生徒の一人が、小坂の存在に気づき、ふと足を止めた。
「あ、小坂せ……」
明るい声が、小坂を呼んだ。
小坂の口から、生ぬるい水がこぼれ落ちた。
水飲み場のコンクリートに片手をついた小坂は、顎から、血のような水滴をしたたらせながら、生徒を上目づかいに見上げた。
喜びにはじけそうな無邪気な笑顔が、一瞬のうちに、凍りついた。
手負いの狼を見るような、おびえた目。
獲物を屠った直後の獣が、肩で息をして、口から血を流している。
ミラレタ。
胸の奥の、どす黒い塊。
見られてしまった。
純真な少年に、気づかれてしまった。殺さねばならない。犯さねばならない。
こんな自分は、知られてはならない。
指先で顔に触れると口の周りがぬめぬめしていた。精液のなごりだった。小坂は手の甲で口をぬぐい、舌で唇を舐めた。
小動物を屠った血だらけの唇を舐め回す狼。
「……んせい」
生徒の顔は赤くなり、喉ぼとけがゴクリと上下した。
古びた鉄筋コンクリートの校舎が空を映して、桃色に染まり、そびえ立っていた。蝙蝠(こうもり)が、キーキーいいながら狂ったように羽ばたき飛んでいた。
「……さよならっ」
生徒は踵を返して走り去った。
今の自分の姿は、よほど異様に見えるのだろう。
もう、おしまいだ。とりかえしのつかないことをしてしまった。自分は犯罪者だ。免職だ。人生が終わった。
下校する生徒たちは、後ろ暗い小坂に、くったくのない明るい声で挨拶していく。
「小坂先生、さようなら」
そうか、多くの者は、気づいていないのだ。自分は、いつもと、同じように見えているのだ。
まだ、おしまいではない。気づかれなければいい。人に気づかれさえしなければ、うまく、やっていける。
今までだって、そうじゃないか。今までだって、うまくやってきた。できる。いや、できなければならない。
けして、人に知られてはならない。
「さようなら。気をつけて帰れよ」
小坂は教師の声で、生徒たちの挨拶に答えた。
だが、小坂のアナルはびくびく疼いてたまらなかった。
ーーー
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