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24th LOVE
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それを見ていた覚樹も、ここぞとばかりに義樹の触り心地のいい肌の感触を楽しんでいる。
ふと笑みもこぼれていることに気づいたが二人きりだからと放っておく。
(かわいいな……ほんっとに……)
番である彼に触れるのに理由も遠慮もいらないが、こういうときだからこそ覚樹は義樹に触れたくなるのだ。
「俺が作る時以外あんまり食べてないだろ。さっき抱き上げた時また軽くなってたしな。それ以上痩せたら死んじまうぞ?」
心地いい強さで抱きしめられて、思わず覚樹が着ていたジャージをTシャツ越しの下の肌も微かに爪を立てるような感覚を覚えさせながら握り込む。
自分が嫌だと押しのければ、覚樹はいつも簡単に退いた。それが酔っ払ったはずみについ取ってしまった冗談半分にな状態でも、だ。そしてあとでもっと強く抱きしめられてしまうのだが。
それもできるはずなのに、しかし今の義樹は何もしなかった。……と言うより、出来なかった。
「よ、余計なお世話だ……」
まだ少し震える声で抗議の声を上げるが、自分を撫でる覚樹の手は優しいまま。
「トモにとって余計なお世話でも、双子のお兄ちゃん……ってより俺の大事な義樹が具合悪いのは俺がガマンできないの」
心配掛けんじゃないよ、まったく。
この期に及んでついうっかりと、少し苛ついたような声を義樹に聞かせてしまった。
「ご、ごめんなさい……」
義樹は、覚樹の機嫌を損ねることを極端に嫌う。
番になった相手のαの機嫌を損ね、とても言えないような酷い目に遭わされて捨てられたΩを何人も見てきているからだ。
その者たちに比べれば、格段に自分は幸せなのだ。
それがわかっているだけに複雑でもあった。
「まあそいつは部活終わってから俺食うから、トモは黙って俺の提案受けてくれないかな」
「て、い……あん……? え、でも土日部活ないって……」
少しぽかんとしたような顔をされて言われた言葉に対し、覚樹は苦笑いを浮かべながら「それがなあ……」と軽く頭を掻く。
「そうだったんだけどさぁ。大会前だから自主練したいってやつが多くて一時間軽い運動だけって制約付きでOK出したんだわ。それの監督。だから昼飯作ってきたってわけさ」
そう言いながら抱きしめてくれる腕に少しだけ力が入ったのがわかって、その安心感につい身体を預けてしまう。
「だから、俺からの提案。作ってきた弁当、一緒に食おうよ」
痛くもなくかと言って緩くもない、義樹が好きな強さだ。
なんとか頷こうとしたその時、覚樹がいつも使っているシトラス系のデオドラントシートの香りを強く感じた。
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