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6thLOVE
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※
(コウ……)
今義樹がいる周辺に人気がないのと誰ともすれ違わないことをいいことに、準備室へと向かう廊下を歩きながらずっと表情筋を緩めている。
(これでどこかで会えたらもっと幸せなんだろうけど……、そこまで贅沢言っちゃだめだよな……)
脳裏に覚樹の顔が浮かぶだけでも、自然と笑みが深くなるのは自分でも止められない。
昨夜本人はそばにいなかったが、今となると今その場にいない相手のことをゆっくり思うのもたまにはいいものだと思えるところが不思議だ。
幸せを感じている今も、きっといつもの仏頂面から派生した苦笑いのような顔をしているのだろう。しかし、義樹にとって嬉しい事は嬉しい事だった。
いい夢が見られた上によく眠れたせいか、体調も普段に比べて格段に良い。
さらにいつもなら食べる気など到底起きない朝食も摂れた。
朝食、と言っても前日帰宅前にコンビニで買っておいた野菜ジュースと生の食パン一枚だけというたんぱく質など他の栄養素を完全無視したメニューだったのだが、朝起きてから食べ物はおろか水すら喉を通らない事のほうが多い普段のことを考えると格段にましな気もする。
そして最大の恩恵としては、起こると少しの間身動きが取れなくなる貧血も今日は起きていない。
そんな幸せな夜を過ごした翌日の今朝からも自分も含めてΩに差別を働く者も少なからず存在して朝からいじめに近い差別をされているが、自分にはαの番である覚樹がすぐそばにいるという心強さからその行為も大した問題ではなかった。
そんなことよりも大きな問題が、彼へのメッセージの返信だった。
(どうしようかな……。コウに何お願いしよう……)
料理上手の覚樹が作るもので不味いものはない。外食よりも覚樹の作ってくれる食事のほうが好きだ。
外食をすると一生懸命早く食べるのだが元から小食の義樹は途中でお腹が満たされてしまい、結果として食べ切れずに覚樹に残りを食べてもらうのだが、どちらかの家で食べる時は不思議と全部食べられる。
中でも彼の作るオムライスは義樹の大好物だ。
(唐揚げ……、ハンバーグ……何か魚……あ、片づけが大変か……。あ、オムライス……、も面倒、か……。ナポリタンも食べたいけど……なんかいっぱい入ってるしだめか……)
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