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口君
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まるで俺の代わりに痛めて泣いてるかの様な様に、兄を泣かせた罪悪感と痛みを無くした不安で、涙を流してごめんなさいと泣いた。
多分、泣いたのはこれが最後。
その後すぐに兄は俺から離れて、明日早いからもうおやすみ。と言い、病室から出て行った。
次の日の朝、医者は俺を迎えに来ると、精密検査をしたり採血をしたりして問題を見つけようとしていたが、結果は何の問題も見つからなかったと出た。
その俺の突然変異のような体質は、看護師が話をしたのか、患者の耳に滑り込み、俺が廊下を歩くと他の患者が見世物の様に俺を見た。
そんな目線を兄や母は気にするな。口は口なんだからだと優しく甘やかす様に、退院までずっとそう言っていた。
でも正直、そんな事をされ無くてもこの時ぐらいから気持ちが痛みと一緒に欠如して来ていた為、なんとも思わなかった。
欠如と言っても、顔に感情があまり出ず、周りよりも心が常に冷静になっている。それだけ。
それくらいだったから、そんなに日常生活で支障はきたしていないと思う。
今日もあの日以来、久しぶりに胸が痛んだ。
それに最近、焦るという感情も出てきた。
事故後は、周りからはあの悲惨な光景を目にした影響で精神がおかしくなった、笑顔が少なくなったと言われたけども。
「…でも、最近そんな感情がだんだん普通になってきたんだ。蝮、お前と出会ってから」
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