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『…口…なんで恋人がいるって話しちゃうの…?俺とだけの秘密だっただろ…?』
「夕兄…」
ガタガタとスピーカーの向こうから変な音が聞こえ、母に何かあったのではないかと思ったら、聞こえて来たのはいつもの優しい兄の声だった。
母から携帯を奪ったらしい。
兄の声の背後から母が後で返してねと言っているのが聞こえ、どんどん音が離れていく。
『ねえ、口。門限過ぎるよ?どうして帰って来ないの?』
学校前でのあの狂気的な兄は夢だったかのような錯覚を起こす。
「あの…俺…蝮の家に泊まりに行くから…」
『なんで?門限守ってくれるよね?口はいい子だからちゃんと帰って来るよね?ねえ、帰って、来るよね?蛇なんかといないで帰ってくるよね?』
何故こんなにも執着するのかわからない。
この兄は何かがおかしいのは数時間程前にも気づかされていたが、こんなに壊れていただろうか。
なんだか、息がしづらい
「…夕兄…俺…」
『なに?あ、迎えに行く?今度はちゃんと迎えに行くからね。蛇なんかには邪魔されないように気をつけるから』
優しい声で俺の話を無視して話してくる兄に、だんだんと恐怖という感情が生まれて来そうになる。
このまま切ればいいのか。
それとも何か言えば…
「口君」
あ
そう思ったのもつかの間、蝮が俺のスマホを取った。
切るのかと思えば、耳に近づけた。
「こんにちは。お義兄さん」
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