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「ほら」
そう言って片手を上げた彼の手には真っ赤な血に濡れた包丁があった。
その時、雲で隠れていた月が顔を出した。周りがだんだんうっすらと明るくなってくると彼がさっきから言っている意味が分かった。
「ね?」
倒れている人の口から出ている舌は真ん中から先が無い。
脇腹からは腸が零れて、左腕と右の足の肉はもうほぼなかった。
ついでに言うと目玉も片方足りなかった。
対して笑みを絶やさない学ランの方の彼の頬には赤い指の型がくっきりとあり、口の周りに関してはもう人を食べたと丸わかりのような夥しい量の血と、倒れている人の肉片であろうものがこびり付いていた。
「だからさ、君も食べていい?」
「…俺?」
なんて突飛な質問だろうかと思う。
ライオンがシマウマに今から食べますと言っているようなものだ。
取り敢えず死にたくはないから首を横に振る。
「えー?だめなの?」
「ダメだよ」
多分世界で一番おかしな会話だ。
「まあ、小腹が減ったからどうせ食べるつもりなんだけどね」
「あの人はもう食べないの?」
「あれは美味しくないからもういらない」
美味しくない。
と言いながらあんなにまで食べたのに?そう思ったが、彼が包丁を振り下ろして来たので慌てて除ける。
「うわっ…もう、危ないよ…あ、せっかく買ったのに潰れた…」
思わず買ってきたサンドイッチなどが入ったビニールが手から離してしまい、彼のおろした包丁が刺さって潰れてしまった。
「もー逃げないでよー……というか、あんまり怖がらないね、普通は泣いたり命乞いするんだけどな〜…怖くないの?」
「え?…自分は普通だと思っていたんだけどな…普通じゃないのか…うーん…君を怖いとは全然思わないし…」
そうか…普通は泣いたりするのか…ん?てこと事は俺は普通じゃないのか?…
なんて1人でブツブツ言っていると、彼が血塗れの包丁を突然、落とした。
その落とした包丁は食べかけの死体にぶっ刺さって血が飛んだ。
「えっ…と…包丁、落とした…っ!?」
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