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彼の手が
血まみれの彼の手が俺の両頬を包むようにして添えて、自分の顔に俺の顔を近づけた。
待って
距離が、近い。
というかこれは唇が
「あ」
気付いたら唇と唇が触れていた。
急にこられたから、驚いて何も言えないでいると、すぐに顔は離れて、彼はぺろっと血が付いた自分の口周りを舐めて笑った。
「ふふふ。美味しい」
そのまま、なされるがままに抱きしめられる。
彼から金木犀の香りがした。
「君が初めてだ…今の僕を見て怖がらないのは…だから食べるのはやめようかな…あーなんか…君が可愛く見えてきたかも。というかすごい可愛いね、君」
急に話し始めた彼の話を抱きしめられながら聞いていると、どうやら懐かれたらしい事がわかった。
唐突に同種を食べる人間に懐かれても、可愛いと言われても、怖くはないが困る。
俺はただ息抜きに夜食を買って歩いてただけだ。
なのに今ではこうなってる。
どうしたものか。
それに、とりあえず離して欲しい。
「あの…ちょと離してくれない…?」
ぐいぐいと胸板を押してもまったく効果がない抵抗なる行動をする俺を見て彼は未だニコニコと笑顔を絶やさない。
「うん、いいよ。君が逃げなきゃね」
「逃げないよ。大丈夫だから」
「じゃあいっか」
じゃあいっかでいいのか。
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