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言うとおりに離してくれた。
手以外は。
ギュッと少し強く掴まれたが、抱き締められるよりましだからそのまま放置しといた。
が、
「あのさ、俺帰っていい?」
夜中に親が起きて俺がいなかったら騒いでしまう。それだけは避けたい。
「えー…やだ」
えー…俺もやだ…
「…じゃあ…そうだな…あ、また会ってあげるよ。その学ラン、俺と一緒の学校だし」
「ほんと?」
「うん。ほんとほんと」
「じゃあ約束。僕ね、蝮っていうんだ。よろしくね」
「よろしく…」
繋いだ手をぶんぶんと振る彼…もとい蝮は、よく見たら、整った顔をしていた。
ずっと困り眉で、ずっと笑顔なのが違和感しかないが、それを除けばイケメンの部類に入るんじゃないのか。
というか名前が少し変わってる。多分。
まあ、俺が言える事じゃないけども。
「蝮?蛇の?」
「うん、そうだよ、蛇の蝮。君の名前は?」
「俺?俺は…口って言うんだ」
名前を聞かれて、偽名を言ってしまおうかと考えたが、学校が一緒だとさっき言ってしまったから流石に無理がある。
「口…かわいい名前だね。わかった、じゃあロ君。また明日学校で会おうね」
「…いや、だから…」
「お休み。口君」
擬付点がない言葉に何て言おうか迷っていたら、存外にあっさりと身を引いて去って行っしまった。
「…おやすみ…なさい…」
死体と、血生臭さと混じり合う金木犀の香りと共に俺を置いて。
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