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「…ん…」
朝、寒さで目が覚める。
目をこすって意識を覚醒させようとするが、あまりに眠い。
昨日のあの路地裏のせいなのはわかってる。
しかも今日、蝮に会うと約束してしまった。向こうはほんとに会う気なのかわからないが。
家族と遭遇しないように部屋を出て、早歩きで洗面所へ向かう。
「…うわ」
洗面台に取り付けてある鏡に映る自分を見ると、頬に血が付いていた。手にも。
暗くてわからなかったが、結構目立つ。
昨日帰って来た時に家族に遭遇しなくてよかった。
これを見られたら最後、陽を拝めない。
ちょっとびっくりしたが、これにずっと驚いていると誰かが来てしまうため、ゴシゴシと強く擦るように洗う。
中々落ちずらくて苦戦したが、なんとか落ちて綺麗になった。
部屋に戻って制服に着替えてると、下から母の声が聞こえて、朝ごはんの用意ができたのだと分かる。
階段を降りて冷たいフローリングの廊下をひたひたと歩いていると、いつも通りの少し焦げた匂いと珈琲の香りがした。
リビングの机に座っている後ろ姿に声をかける。
「おはよう。タ兄」
「おはよう。口」
挨拶を返してくれたのは、笑顔が格好良くて爽やかな俺の兄。
「夕兄、今日はなんだか早いね」
「朝からの講義だからね。口は今日はやけに遅いね」
「そう?」
「いつも口は早く起きてゆっくり行くじゃん。…あ、昨日深夜コンビニに行って息抜きしたから遅くなったの?」
「うん、そうそ……ん?…なんで知ってるの?」
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